米国の株式市場はユーロ危機以降初めて調整に向かう可能性も

米国株式市場
先週、新興国経済の混乱を受け世界の証券市場が動揺したことから、投資家はポートフォリオの見直しに乗り出していますが、現在のところ、株価の急落に対応して安全な投資先として米国株に逃避する動きはほとんどなく、世界の株式市場はさらなる混乱に直面する恐れがあります。




株価が一段安に見舞われると、米国の株式市場は2011年のユーロ危機以降初めていわゆる調整に向かう可能性が出てきます。

調整とは、株価が少なくとも10%下落することと定義されています。

世界の経済成長がまだら模様となって、各国中央銀行の景気下支え策が縮小されれば、新興国市場への不安から調整場面となる可能性はさらに高まるでしょう。

株価の上昇は収益率や経済成長の見通しからみて行き過ぎの感があり、今年のどこかで10―20%の深い調整が起こりそうな気配です。

トルコや南アフリカ、ブラジルなどの新興国の株式、債券、通貨の各市場が大きく動揺しています。

これら新興国はある程度厳しい経済調整に踏み切らなければ、新興国市場は継続的な売りに見舞われる恐れがあります。

資金運用者がより安全な投資先を探すようになれば、最終的には米国株は恩恵を受けるようになる、と多くの投資家は話します。

また、中国の景気減速のほか、インドやアルゼンチンなどでの市場混乱が、米国の経済や企業収益に打撃を与えると予想する向きもほとんどいません。

さらにフィデリティー・インベストメンツは先週顧客向けノートで、中国の需要減退を受けて商品相場が下落すれば、米国の消費者は利益を得る可能性があると指摘しました。

ニュ―ヨーク証券取引所のダウ平均は先週、新興国の混乱を受けて、2日間で3%値を下げ、週間下落率は1年超ぶりの大幅なものになりました。

下落率が5-8%になれば、株式市場に振り向ける資金を増やす投資家もいるでしょう。

ただ昨年には、調整を期待していた投資家は何度も見通しを誤り、ダウ平均は26.5%も値上がりしました。

しかし今や、いくつかの要因が景気後退を予感させます。

連邦準備制度理事会(FRB)はかつてない景気下支え策の規模を縮小する第1歩を踏み出していて、金融緩和の追い風は弱まっていくとみる投資家もいます。

一方株価はぎりぎりまで上げたとの見方が大勢となっています。

米国市場の時価総額のほぼ90%をカバーするS&P総合1500種指数の構成企業は昨年末には株価収益率(PER)は18倍となり、同年初めから20%上昇しました。

1月22日までにS&P500種構成企業の4分の1が最新四半期決算発表を終えましたが、利益の伸び率は前年比6.4%で、決算シーズン前の予想の6.2%を上回っています。

投資家が新興国市場からシフトする規模やタイミングは不透明です。

海外市場が大幅に値を下げ、資金が世界的に株式からもっとリスクの低い債券に流れ込めば、世界同時株安となるでしょう。

新興国の問題は根の深いさまざまな経済問題の症候であり、新興国の株や債券はさらに値を下げるでしょう。

新興国市場の成長は信用バブルによって引き起こされたものです。

今やその信用も縮小しつつあります。

S&P500は1月24日に、昨年12月20日以降で初めて21814を割り込んみました。

昨年12月20日以降S&P500を購入した人の多くは損失を出しています。

これは市場にとって大きな圧力となります。

痛みを感じた人は売りに回る可能性が高いからです。

新興国市場に限らず米国市場も、少なくとも目先は下落する可能性が大きいように思います。


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