物価上昇が長期金利の上昇を招くのでしょうか?

長期金利
黒田総裁は、4月4日の第1回政策決定会合の後、「2年後に2%の物価上昇を目指す」と明言しましたが、日銀政策委員会(正副総裁3人と審議委員6人)の総意としては2%よりも低くなっています。




日銀はさらに、2014年4月に予定されている消費税の引き上げによる物価上昇率への影響を2%、2015年10月に予定されている消費税の引き上げによる物価上昇率への影響を1.3%と推計しています。

2014年の消費増税の引き上げ率は5%から8%ですので3%、2015年は8%から10%なので引き上げ率は2%ですが、消費税の引き上げ率がそのまま物価上昇にならないのは、消費税の非課税品目や引き上げの対象外となる商品も、物価上昇率の計算の対象になっているからです。

それらを考慮すると、消費税引き上げの影響は、2%と1.3%になるのです。

さらに、消費税増税分をすべて販売価格に転嫁できなければ、影響はもっと小さくなります。

仮に日銀の予想しているとおりに物価が上昇し、かつ消費税の引き上げで物価がさらに上がった場合、物価は3%半ばあたりまで上昇すると推計しています。

物価と金利の関係を表したのが次の式です。

名目金利=実質金利+期待インフレ率

名目金利というのが、普通「金利」と呼んでいるものです。

実質金利は、名目金利からインフレの影響を差し引いたもので、一般にその期間の実質期待成長率に、ほぼ等しくなると理解されています。

アベノミクスでは、3本の矢を総動員し、景気を回復させデフレを脱却しようとしているので、うまくいけば実質期待成長率も伸びることが予想されます。

さらに、先程予測を見ていただいたとおり、今後はみんなが予想するインフレ率(=期待インフレ率)も上昇することが予測されています。

つまり、この式で金利を上げる2つの要素がともに上昇するので、当然金利が上がると考えられます。

このように、アベノミクスが成功すると金利が上がってしまうと考えられるのです。

そうなると、やはり借金の利払い費が増えてしまい、財政がもたなくなるという意見がアベノミクス反対派によって提示されているのです。

これが、アベノミクス自体が利払いを膨張させ、財政破綻を招くという話の要旨です。

しかし経済理論的には、この式にのっとって期待インフレ率の上昇分だけ名目金利が上昇するには、完全雇用の状態であることが条件として付いているのです。

完全雇用とは、働く意欲のある人が全員職に就いている状態です。

ご存知のとおり、日本は今デフレで経済の状況が悪く、失業率も4%台と完全雇用の状況ではありません。

経済の状況が良くないときには、お金の需要が少ないので、金余りの状態が生まれます。

余ったお金の一部は国債にも向かうので、金利の押し下げ効果が働きます。

つまり、完全雇用の状態になるまでは、実質期待成長率や期待インフレ率が上がったとしても、その分金利が上がるとは限らないのです。

一方で、実際にアベノミクスがうまくいき、景気が好転してデフレを脱却するようになると、徐々に完全雇用の状況に近づきます。

その段階では、先程の式で示されているように金利が上昇しやすくなるので、その前段階で出来るだけ国の借金を減らしておかなくてはいけません。

悲観論の中には、「どうせ国は借金を減らすことなんて出来ないから、結局、利払い膨張に耐えられなくなる」という主張もあります。


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