日本国債
長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは5月29日、一時0.560%と昨年5月2日以来の約1年ぶりの低水準となりました。

年明け以降、新発10年債の利回りが0.6%前後で限定された動きとなっているフローズン(凍結)相場は、日銀が毎月、新規発行分の約7割に当たる国債を吸い上げ続けている結果です。

長期金利利回り

日銀の国債保有残高は2013年末時点で、前年比6割増の183兆円まで膨らみました。

国債発行残高の18.6%を日銀が保有する計算で、19.6%の保険会社に次ぐ大量保有者です。

日銀は年明け以降も国債購入を続けており、既に保険会社を抜いたとも見られています。

一方で、市場で流通する国債の量は減っており、2013年度に金融機関などが行った国債売買高は月平均約150兆円で、2012年度に比べ2割近く減少しました。

取引が少ないと、国債価格の値動きが不安定になり、金利が乱高下するリスクは高くなります。

2013年4月、日銀が国債の大量買い入れを始めた直後、新発10年債の利回りは過去最低の0.315%を記録(4月5日)した後、5月23日には1.0%まで高騰(国債価格は下落)しました。

また、今年4月14日には新発10年債の取引が終日、成立しない事態も発生しました。

日銀の黒田東彦総裁は「国債市場の流動性が低下し、取引がスムーズに行われていないとか、価格付けが適正に行われていないということはない」と金融緩和が市場に悪影響を与えていないと強調します。

しかし、市場関係者は「取引量が少ない状況が続けば、わずかなきっかけで金利が跳ね上がるリスクが高まる」と気をもんでいます。

長期金利は住宅ローンや融資・預金金利の基準となります。

急騰すればお金を借りる企業や個人を直撃し、日本経済の回復を阻む要因となります。

政府の借金の利払いも増え、財政悪化に拍車がかかる恐れがあります。

黒田総裁は「金利が(急騰するなど)金融政策の目的でないところへ動けば、放置できない」と対策を講じる考えを示していますが、物価が上昇のきざしを見せる中、金利を抑え込み続けるのは容易ではありません。