金融庁
全国で105行(地銀、第二地銀)がひしめく地域金融機関を巡り、業界再編を促す圧力が強まっています。

競争激化で収益が伸び悩んでいることに加え、人口減少や地域経済の縮小に伴い、今後は採算が悪化する恐れがあるためです。

一部地銀で統合などの動きも出ているものの、金融庁内では「動きが鈍い」との不満が根強くあります。

地域金融機関の将来像は見通せないままです。

「地域金融機関は利ざやが減り、(金融機関が過剰に存在する)オーバーバンキング」。

自民党の塩崎恭久政調会長代理は5月26日の記者会見で、地域金融の強化が必要との認識を強調しました。

自民党がこの日、政府に示した成長戦略の提言には、広域で事業展開する「日本版スーパー・リージョナルバンク(仮称)」の創設が盛り込まれました。

地銀、第二地銀の融資業務など本業のもうけを示す「コア業務純益」。

金融庁によると、2007年3月期は合計で2兆円超でした。

しかし、2013年3月期には約4分の3(1兆5400億円)に減りました。

地元企業の資金需要の伸び悩みや、金融機関同士の金利競争の激化で、利ざやの縮小が続いていることが背景にあります。

金融庁が2013年9月に公表した地域金融機関の監督指針には「5~10年後を見据えた中長期の経営戦略を検討することが重要」と明記され、年明け以降は畑中龍太郎長官が地銀頭取らが集まる会合で「経営戦略に答えを出す年だ」と強調しました。

足元の景気回復で多くの金融機関で業績が回復していますが、「国内市場の縮小が見込まれる中、地銀再編は不可避」(金融庁幹部)として、各行に経営戦略の練り直しを迫っています。

金融機関も危機感を覚えていて、業務提携や再編の動きは出ています。

首都圏が地盤の東京都民銀行と八千代銀行は5月2日、持ち株会社「東京TYフィナンシャルグループ」を2014年10月に設立し、経営統合すると発表。

今後、他の地銀が合流する可能性も取りざたされます。

都民銀の柿崎昭裕頭取は記者会見で「未来永劫(えいごう)ないとは言えない」と語り、統合拡大に含みを持たせました。

また、2014年1月には福岡、静岡、千葉、北海道などの地銀9行が、取引先企業の紹介や企業の合併・買収(M&A)業務での提携を発表しました。

この提携に参加した福岡銀行の谷正明頭取は、全国地方銀行協会の会長です。

5月14日の会長記者会見で谷会長は、「再編は(経営強化のための)選択肢の一つ」と認めながらも「ちゃんとしたビジネスモデルがないまま統合しても単なる数合わせになる」と指摘。

やみくもに再編をしても、経営にプラスにならないことも強調しました。

金融機関の中には、行政主導の地銀再編に警戒感も広がっています。

地方金融機関は、地元での存在感が強いため、名称変更や経営者交代を伴う経営統合には消極的との指摘もあります。

スタンダード&プアーズの吉沢亮二・主席アナリストは「人口減少や高齢化に加え、地域経済を支える製造業の海外移転も進み、地銀の収益増加は難しい」と分析しています。

最近の主な地方銀行の再編

2004年9月 ほくほくフィナンシャルグループ=富山市

<北海道銀行、北陸銀行>

2006年10月 山口フィナンシャルグループ=山口県下関市

<山口銀行、もみじ銀行>

2007年4月 ふくおかフィナンシャルグループ=福岡市

<福岡銀行、親和銀行、熊本ファミリー銀行>

2010年3月 関西アーバン銀行=大阪市

<関西アーバン銀行、びわこ銀行>

2010年4月 トモニホールディングス=高松市

<徳島銀行、香川銀行>

2012年9月 十六銀行=岐阜市

<十六銀行、岐阜銀行>

2014年10月 東京TYフィナンシャルグループ=東京都新宿区

(予定)   <東京都民銀行、八千代銀行>

*社名、行名に続く地名は本社、本店の所在地