東京五輪を境に世界最大の対外純資産国の地位を中国に奪われる可能性

主要国の対外純資産
5月にまとめたエコノミスト16人を対象にしたブルームバーグの調査によりますと、10人は10年以内に日本が常態的な経常赤字国に転じると予想。

そのうち9人は20年までの経常赤字化を予想しました。




日本は1991年に世界最大の対外純資産国となり、2013年末時点で325兆円の対外純資産を抱えています。2位は中国で208兆円。

高齢化などを理由に国内の貯蓄率は低下傾向に転じており、日本は公的債務を賄うために海外資金への依存度を強めています。

経常赤字に転じた場合、長期金利に上昇圧力が強まり投資家が日本に対する評価を見直す結果、世界最大の対外純資産国の地位も中国に譲り渡す可能性が出てきます。

SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリストはこれまでのトレンドが続けば、「対外純資産の規模で中国は早ければ2020年あたりに日本を追い抜く可能性がある」と指摘。

米国のように経常赤字を埋めるための資金を海外から調達できるかどうかが重要で、「できなければ日本は自国の対外資産を取り崩さなければならず、国力を失うことを意味する」と話します。

日本は、石油価格の高騰で7四半期赤字に陥った1979年と1980年を除き1973年以降は経常黒字を維持しました。

2013年度の経常黒字は7899億円と1985年以降で最少となりました。

円安で稼働を停止している原発の代替燃料の輸入額が膨らんだほか、生産拠点の海外移転や日本企業の国際競争力低下などの構造的な問題も指摘されています。

財政制度等審議会は5月末に麻生太郎財務相に提出した報告書で「最近の貿易赤字により、経常収支が赤字となれば双子の赤字になる」とし、現在8%(2013年末)にとどまっている海外投資家の国債保有額が増加した場合の金利上昇に警戒感を示しました。

さらに同報告書では「2020年度のプライマリーバランスの黒字化の先送りは許されない」と明記しました。

財務省の試算によりますと、2020年度までに政府の赤字は935兆円に上ると試算。

2014年度は769兆円が見込まれています。 

内閣府によりますと2012年の貯蓄率は1.1%と1994年の9.7%から低下しました。

バークレイズ証券の森田京平チーフエコノミストは戦後のベビーブーム世代の引退が増えるため、貯蓄率の低下は今後も進むと予想。

国立社会保障・人口問題研究所によりますと、日本の人口は2012年の1億2700万人から2020年には1億2400万人に減少する見込みです。

一橋大学商学研究科の小川英治副学長は、政府債務の増加と家計貯蓄の減少に伴う経常赤字は悪い赤字で、金利上昇につながりやすいとした上で、「政府が消費税を20%に上げたり、社会保障支出を大胆に削らない限り、経常赤字化のシナリオの可能性は高い」と指摘。

政府部門の債務超過が要因で経常収支が赤字化すればリスクプレミアムが発生し、「長期金利4%という世界も全く考えられないわけではない」と第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストはみています。

足元、10年物国債金利は0.6%近辺で推移しています。

SMBC日興証券のシニアエコノミスト、宮前耕也氏は2020年に経常収支が赤字になると予想していますが、「内需が強いか、民間投資が活発化した結果として経常赤字になっても問題はない。経常赤字が必ずしも経済に打撃を与えることはない」と述べました。

米国は1992年以降毎年赤字を計上していますが、同期間の経済成長率は平均で2.6%を維持し、日本の0.9%を上回っています。

同時に米国は外資を呼び込み経常赤字を埋めることに成功しています。 


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