社会保障費の不足分を消費税の引き上げで補填できるのか?

消費増税
日本の累積赤字(債務残高)はすでに1000兆円を超えています。
このように年々借金が積み上がってしまうようになったのは、1990年代初頭にバブルが崩壊してからのことでした。




1990年代後半までは、バブル崩壊で税収が減ったうえ、景気対策として公共事業を増やしました。

これが、累積赤字増加の第一のフェーズです。

1990年代後半からは、高齢化によって社会保障費が激増しました。

直近の2013年度当初予算ベースで見ると、借金の最大の要因は社会保障費の支出で、これだけで18兆円も赤字が増えてしまっています。

つまり、日本の場合、逼迫する財政問題を解決しようと思ったら、景気を良くして税収を増やす一方で、社会保障費を抑制する、これしか方法は存在しないのです。

税収が不足しているのは、デフレから抜け出せず、景気が悪い状態がずっと続いていることが根本原因です。

では何故、社会保障費がこんなにも赤字の温床になってしまったのでしょうか?

1990年以降、現役世代(20歳から64歳)が減り、リタイア世代(65歳以上)が増加する傾向があります。

ようするに、支える人が減り、支えられる人が増えているわけです。

たとえば、1965年の段階では、現役世代5608万人で618万人のリタイア世代を支えていました。

比率にすると現役世代はリタイア世代の9.1倍だったので、9.1人で1人を支えればよかったのです。

しかし、この比率は年々減少し、1990年では5.1倍、2012年は2.4倍、そして2025年は1.9倍になると予測されています。

1.9人で1人を支えるということは、1965年の9.1倍で1人を支えていたときに比べて、支える人1人にかかる負荷は5倍程度になります。

つまり、現役世代が負担する社会保障費を、1965年の水準から比べて5倍にしなくては、制度として維持することが無理だということなのです。

しかし、現実問題として、現役世代にそんな重い負担を背負わせることはできるはずもありません。

そこで、足りない部分を税金や借入や積立金の切り崩しで補ってきたのが、日本の社会保障の実体です。

社会保障費

日本では1970年代の半ば頃から、社会保障給付費(年金、医療、介護、福祉、生活保護などの給付金)が社会保険料収入(健康保険、厚生年金保険、雇用保険、介護保険などの収入)を上回り、赤字になりました。

それでも、1990年代初めまでは給付費の8割程度を保険料収入で賄うことができていました。

しかし、それ以降は現役世代の人口の減少や景気の低迷で、社会保険料収入が頭打ちになってしまった一方で、高齢者は増加の一途なので必要となる給付金はどんどん膨らみ、毎年の赤字幅も広がり続けてしまっているのです。

足りない分は税金や借入や積立金の切り崩しで補ってきたのですが、その額は年々増え続けていて、直近の2012年では約55兆円にもなっているのです。

日本の財政は、現状でもすでに毎年巨額の国債を発行して、なんとか帳尻を合わせている状態なので、これ以上増え続ける社会保障費の赤字を埋めるのは無理だと考えるのが常識的な人間の反応です。

とはいっても、このまま何もしなければ、早晩、首が回らなくなってしまうのは明らかなので、社会保障費の不足分を補填しようと予定されているのが、消費税の引き上げです。

消費税に関しては、民主党の野田政権の時代に当時野党だった自民党・公明党との三党合意により、これまで5%だった消費税率を、2014年4月から8%、2015年10月に10%にそれぞれ引き上げることが法律で決められました。

この法律には景気弾力条項という、いわば施行にあたっての条件が付いていて、景気が思惑(おもわく)どおり好転していないと消費税の引き上げは実施されず、またも問題が先送りされます。

しかし、仮に予定どおりに消費税が引き上げられたとしても、実は、増え続ける社会保障費を賄うには十分ではないという試算がされています。

つまり、いったん消費税を10%まで引き上げたとしても、さらなる消費税率の引き上げや、その他の増税によって財源を確保するか、あるいは社会保障給付額の削減や年金給付開始年齢の再繰り上げなどの社会保障の抜本改革を行わないかぎり、社会保障費が国庫の大きな負担であり続けると考えられるのです。

この点をついて、アベノミクス反対派は「少子高齢化はこれからも進み負担は増える。一方で社会保障の抜本改革はなかなか進まないから、財政破綻に進むしかない」と主張しているのです。


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