“消費税8%正式表明”安倍首相記者会見(2013.10.1) 演説全文

安倍晋三首相
安倍首相記者会見骨子
1、消費税率を5%から8%に引き上げることを決断
1、経済再生と財政健全化を両立
1、5兆円規模の経済対策を12月上旬に策定
1、法人税の実効税率引き下げについて真剣に検討
1、復興特別法人税は1年前倒しの廃止を検討
1、消費税率10%への引き上げは経済状況を総合的に勘案し、適切に判断




安倍首相記者会見(2013.10.1)演説全文

半世紀ほど前の本日10月1日、東海道新幹線は開通しました。

そして、その10日後、東京オリンピックが開会されました。

「頑張る人は報われる」みんながそう信じていた時代です。

その少し前、国民皆保険が実現をしました。

今に続く、世界に冠たる保障制度の礎(いしずえ)が築かれた時代であります。

それから半世紀、日本経済はバブル、バブルの崩壊を経験して15年以上続いたデフレを経験しました。

その間、国民所得は大きく減ってしまいました。

こうした中、毎年増えゆく社会保障費をどう賄うか、それが大きな課題となっています。

同時にデフレから脱却をし、再び成長軌道を取り戻すことなしには、将来に向けた真に安定した社会保障制度は作れません。

半世紀前のこの日のように経済が再び希望と活力、成長への自信を取り戻す。

そして国の信認を維持し、社会保障制度を次世代にしっかりと引き渡す。

これらを同時に進めていくこと。

これが私(わたくし)の内閣に与えられた責任であります。

本日私(わたくし)は消費税率を法律で定められたとおり、現行の5%から8%に、3%引き上げる決断をしました。

社会保障を安定させ、厳しい財政を再建するために財源の確保は待ったなしです。

だからこそ昨年、消費税を引き上げる法律に、私たち自由民主党、公明党は賛成をいたしました。

ただし直近のデータによれば、民間給与はわずかに上昇傾向に転じましたが、景気回復の実感は未(いま)だ全国津々浦々までには波及していません。

このなかで増税を行えば消費は落ち込み、日本経済はデフレと景気低迷の深い谷へと逆戻りしてしまうのではないか。

結局、財政規律も社会保障の安定も悪い方向へと行きはしないか。

最後の最後まで考え抜きました。

足元の日本経済はどうか。

次元の違う3本の矢の効果で回復の兆しを見せています。

2期連続で3%以上のプラス成長。

有効求人倍率も0.95まで回復しました。

生産も消費も、そしてようやく設備投資も持ち直してきています。

15年間にわたるデフレマインドによってもたらされた日本経済の縮みマインドは変化しつつある。

であれば大胆な経済対策を果断に実行し、この景気回復のチャンスをさらに確実なものにすることにより、経済再生と財政健全化は両立しうる。

これが熟慮した上での私(わたくし)の結論です。

250年ほど前、私(わたくし)の郷里、長州藩は巨額の財政赤字に苦しんでいました。

財政再建のために検地を行い、4万石あまり収入が増えました。

しかし当主、毛利重就(もうりしげたか)は未来への投資に充てることを決断します。

干拓して新田を開拓し、塩、紙、蝋(ろう)といった新たな産業を育成しました。

4万石の未来への投資が長州の人たちの生活を押上げ、明治維新の原動力となったのです。

増えた4万石で一時しのぎをするのではなく未来を描こうとしたのです。

今晩取りまとめた経済政策パッケージは目先の経済を押し上げるだけの一過性の対策ではありません。

社会保障の充実や安定などのためにお願いする負担を緩和しながら、同時に将来にわたって投資を促進し、賃金を上昇させ、雇用を拡大する。

まさに未来への投資です。

企業収益の増加が賃金上昇、雇用の拡大につながり、消費を押し上げることを通じて、さらなる企業収益につながっていく。

経済の好循環を作るための投資を進めます。

研究開発を促し、設備投資を後押しして、未来の成長と雇用につなげます。

地方再編を促して企業体質を変え、新たなベンチャーの企業を応援することで持続的な活力を生み出します。

実効税率が国際的に高い水準にある我が国の法人税。

我が国の持続的な成長に向けて国際競争に打ち勝ち、世界から日本に投資を呼び込むためには、法人税について真剣に検討を進めねばなりません。

さらに収益を賃金として従業員に還元する企業には税制で支援します。

政・労・使の連携も深めながら、成長の成果を若者や女性を含めて雇用拡大、そして賃金上昇につなげていきます。

加えて足元の経済成長を賃金上昇につなげることを前提に、復興特別法人税の1年前倒しでの廃止について検討をいたします。

もちろん25兆円の復興財源を確保することは大前提です。

同時に所得の低い方々に対して、1人1万円の給付を行います。

住宅については住宅ローン減税の大幅拡充、給付措置の創設を行い、消費税引き上げによる負担を軽減することも決定いたしました。

消費税率の引き上げによって東日本大震災の復旧、復興に支障が生じることはあってはなりません。

新たな経済対策のなかで復旧、復興の加速に取り組むとともに、被災者の住宅再建にかかる給付措置を創設します。

これらの給付措置を含む新たな経済対策を12月上旬に策定します。

その規模は5兆円規模とします。

消費税の円滑、適正な転嫁も大変重要な課題です。

政府一体となって強力に転嫁対策を実行していきます。

世界に冠たる我が国の皆年金、皆保険制度。

これを次世代にしっかりと引き渡してまいります。

少子化対策、そして女性が輝くための対策。

我が国の未来のため喫緊(きっきん)の課題です。

待機児童の解消をしっかりと実行してまいります。

そのための一体改革です。

消費税で安定した財源を確保し、社会保障を維持、強化してまいります。

消費税収は社会保障にしか使いません。

当然、歳出の無駄は不断に削減していきます。

合わせて国の信認を維持してまいります。

海外や市場からの信頼が損なわれれば、日本経済と国民生活に深刻な影響が出ます。

そのような事態を招くわけにはいきません。

基礎的財政収支の赤字を2015年度に半減し、2020年度に黒字化するという目標に向けて大きな一歩を踏み出します。

増税をしながら他方で経済対策を実施することは批判があるかもしれません。

しかし増税をせずに経済再生だけを優先すれば、将来の社会保障の安定と財政再建に疑問符が付くことになってしまいます。

持続的ではありません。

他方で経済対策をせずに増税だけを優先すれば景気は腰折れしてしまうリスクが極めて高い。

持続的ではないのです。

経済の再生と財政健全化。

この2つを同時に達成するほかに私たちには道はありません。

本日決定した経済政策パッケージは、そのためのベストシナリオである。

私はそう確信をしております。

4万石の未来への投資は長州藩を豊かにし、幕末には吉田松陰先生をはじめ明治維新の原動力となった若者たちを育(はぐく)む基盤となりました。

「志(こころざし)定まれば、気盛んなり。」

消費税の3%引き上げと、そのもとでも経済を力強く成長させる経済対策を同時に、そして果断に実行してまいります。

我が国が置かれている現状、そして今回の私(わたくし)の結論に対して国民の皆様のご理解とご支持をお願い申し上げます。

私からは以上であります。


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