IMFの年次審査報告書が消費税15%を提言する理由

消費税15%
8月5日に国際通貨基金(IMF)が年次審査報告書を公表しました。

年次審査報告書では安部政権の経済政策であるアベノミクスについて「前例のない金融緩和と積極的な財政出動の組み合わせによって、景気は力強く改善している」と概ね評価する内容となっています。

IMFは日銀による異次元の量的緩和策と、今年1月に成立した2012年度補正予算(総事業費20兆円、政府支出10兆円の緊急経済対策)の効果を評価しています。

それから今後の課題として下記のような提言をしています。

  • 非正規労働者と正規労働者に大きな格差がある日本の労働市場の改善
  • 農業や国内サービス部門などでの規制緩和
  • より具体的な成長戦略と信頼出来る中期の財政再建策が不可欠
  • 消費税の税率を2014年4月に8%、2015年10月に10%へ引き上げる計画の実施
  • 2015年以降も財政再建策を継続し、最終的に15%までの消費税引き上げが必要

現在の日本政府のプライバリーバランスは、政府のみの数字、予算ベースの概算値ですので執行ベースの正式な数値とは差がありますが、約22兆円の赤字です。

消費税を現在の5%から15%まで増税すれば単純計算で20兆円の税収増となります。

支出が変わらなければ、これでプライマリーバランスの赤字を解消することが可能となる計算です。

今年5月にIMFの調査チームが来日し、財務省など政策当局の担当者と協議を重ねましたので、おそらく日本政府が掲げている2020年度までに国と地方を合わせたプライマリーバランスを黒字にするという目標をそのまま反映していると考えられます。

IMFは完全にプライマリーバランスが黒字にならなくても、消費税が15%に増税され、プライマリーバランス黒字化のメドが立てば、ある程度の国際的な信認を得られると考えているようです。

アベノミクスの世界経済への波及効果については、次のように公表しています。

金融緩和により円安になると、インフレ率などを考慮した実効為替相場で円が10%下落しても、影響が大きい貿易相手国である中国や韓国の成長率は年0.1~0.2ポイント下がるにすぎないが、日本では大きく需要が拡大し、結果として近隣諸国を含めた世界全体の経済成長に貢献する。

しかし、アベノミクスの失敗でインフレ目標が達成できず、財政健全化も構造改革も出来なかった場合、日本の国内総生産(GDP)は10年間で4%縮小すると試算されています。

その場合、投資家の信頼を失って長期金利が2%高くなると仮定すると、緊急の財政引き締めや株価下落が起きて世界経済の成長率を2ポイント押し下げると予測しています。

ユーロ、英国と日本で構造改革、日本と米国で中期財政計画、英国と米国で成長促進予算、中国以外で金融緩和、特にユーロ圏では銀行統合などの金融分断の回避措置、中国では消費経済への移行期間での銀行・財政・企業部門における諸改革・・・

これらの政策が実施されないと成長率は、中国で1.5ポイント、ユーロ圏で1ポイント、米国で5ポイント、それぞれ引き下げることになるだろうと警告しています。

上記の数字は、それぞれの国が持つ世界経済とのつながりや、それぞれの国の経済規模によって決まります。

アベノミクスが金融緩和だけでなく公共事業とのセットで認識されている点と、中期的な財政見通しについて日本が債務過剰というリスクを抱えていることを忘れてはいけません。


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