「資本主義」 それはお金、資本を際限なく投じ、増殖を求めるシステム。

★コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授(2001年ノーベル経済学賞受賞)の意見

「今 多くの国が低成長に苦しんでいます。それでも世界経済は成長し続けられるのでしょうか?成長し続けていくべきなのでしょうか?」

いま問題なのは世界の総需要が不足していることだ。
そのせいで世界経済が減速している。それにはいくつかの原因がある。

まず中国の減速。
“量の成長”から“質の成長”へと変化し、世界に大きな影響を与えている。

もう1つはユーロ圏だ。
数々の問題を抱えている。
ユーロでは通貨の統合が成長を妨げてきた。

ただ全体としては別の要因が潜んでいる。
不平等の増大だ。
貧困層から富裕層へと富は吸い上げられ、富裕層は貧困層に比べ、お金を使わない。
これが全体の需要を押し下げ、成長にブレーキをかけているのだ。

★トーマス・セドラチェク(チェコのCSOB銀行チーフストラテジスト)の意見

僕らが生きている世界は資本主義か、それとも“成長”資本主義か。
僕は“成長”資本主義だと思っている。

みんな成長のことばかり気にしている。
成長できなかったら「もう終わりだ」ってね。
おかしいだろう?どこに書いてある?
聖書に?空に?数学モデルに?
過去に証明されたのか?

ノーだ。
資本主義が必ず成長するというのはナイーブな思い込みだ。
成長に反対なわけじゃない。
いい天気が嫌なはずがないだろ?

問題は社会、年金、銀行・・・すべて成長が前提になっていることだ。
まるで毎日快晴だと決めつけて船を造るようなものだね。
そんな船はダメだ。

凪(なぎ)でも嵐でも航海できのが、いい船だろう。
そりゃ天気がいいのに越したことはない。
でも、それを前提にして船を造ってはいけない。

★コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授の意見

低成長は避けられる。
もしもアメリカ、ヨーロッパ各国で考え方を変えることができれば成長は可能だ。

「資本主義は これからも持続可能だと考えますか?」

市場経済は ずっと続いていくだろう。
市場経済の在り方には政治が大きく影響する。
30年ほど前にアメリカをはじめ各国で市場経済のルールの書き換えが始まった。

ますます不平等を生むようなルールに書き換えられたのだ。
それだけでなく市場経済の効率性が下がり、生産性の下落を招いたのだ。
目先のことだけに人々が夢中になってしまうようなルールの変更だ。

長期の投資ニーズがあり、長期の貯金をしている人々がいる。
だが金融市場は目先のことだけで機能不全に陥っている。
私たちの市場経済が招いた決定的な変化の1つだ。
だから今再びルールを書き換えないといけない。

これからのルールは繁栄を分かち合い、より成長し、より公平な分配を促すものでなければいけない。
実現できると思うし、実行可能な目標だと思う。

★トーマス・セドラチェク(チェコのCSOB銀行チーフストラテジスト)の意見

共産主義だった国から来た身としては、共産主義政権を捨てて資本主義をインストールしていた頃、民主主義国家での資本主義は何よりも自由のためのものと信じていた。

成長は良いものかもしれないけれど、例えるなら車の“最高速度”だ。
それは大事なことか?そうだ。一番大事なものか?いいえだ。

たしかに資本主義は“成長”のための豊かな土壌だ。
しかし、この20年間で2つの関係がひっくり返って、私たちは成長を資本主義の“絶対必要条件”だと信じ込んでいる。

私はいつもリュックひとつで旅をするんだ。僧侶みたいだろ?
手で持てる以上の物は僕はいらない。
自由とは、かつて「物からの自由」を意味していた。
今や自由といえば「消費する自由」だ。
消費できるほど自由を感じる。
消費できないと自由じゃないと思ってしまう。
だから毎日働かないといけない・・・・

映画「マトリックス」でもあっただろ。
いらないものを買うために、したくもない仕事をする。
エデンの園の呪いだね。

「CUBE」って映画を知ってるかい?
「CUBE」はカフカの不条理劇にも通じるんだが、気がつくと四角い空間に閉じ込められていて・・・物語の終盤、実は自分たちが「CUBE」を作っていたことに気がつくことになる。

専門化した社会では自分のしていることが分からなくなる。
フランスの哲学者ラカンはこう言った。
「分かっているけど止められない」
私たちの問題は、分かってさえもいないことだ。

どんなに働いても欲望を満たすだけのものは作れない。

★コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授の意見

経済成長について話すときは、「成長」の意味をはっきりさせないといけない。
GDPは経済力を測るには良い指標とは言えない。
環境汚染、資源乱用を考慮に入れていないし、富の分配も社会の持続性も考慮されていない。
問題だらけだ。

経済における成長の本質を、この先 変えていくべきだと強く思っている。
すでに明らかなのは物質主義的経済・・・・

天然資源をじゃぶじゃぶ使って、二酸化炭素を大量に排出するようなことは、持続不可能ということだ。
もう、そのような成長は成し得ない。
他のカタチの成長がある。
まだまだ繁栄できるし、新たなイノベーションを生み出せるはずだ。

「その変化を起こすには何が必要ですか?」

政府の政策が必要だ。
テクノロジーやインフラや教育に、もっと投資をしないといけない。

地球の気温を2℃も上昇させてしまったことで、多くの投資が必要になっている。
経済を整え、新エネルギーに移行し、都市構造を変える。
私たちには巨大なニーズがあるはずだ。