中国の銀行
銀行を経由しない中国の「影の銀行(シャドーバンキング)」の規模が拡大しています。

代表的な個人向けの高利回り商品「理財商品」である信託商品の2013年末の資産残高は前年末比46%増え、10兆9100億元(約185兆円)と名目国内総生産(GDP)の約2割に達しました。

信託商品で調達した資金はリスクの高い開発プロジェクトに投融資されることが少なくありません。

このところ中国紙が一部の理財商品の返済が滞っていると相次いで伝えるなど、デフォルト(債務不履行)への懸念が高まっています。

影の銀行問題は日米の株価にどう影響するのでしょうか。

中国の「影の銀行」問題が顕在化してきたことは、円高・ドル安を通じた日本株安を招きかねません。

ただでさえ新興国経済の先行き懸念が浮上しているなかで、中国経済が新たなリスク要因として浮上してきました。

仮に理財商品のデフォルトが相次げば、投資家が運用リスクを避ける動きが強まります。

短期的な利益を狙う投資家が低リスクとされる円を買い、日本株を売るという取引を仕掛けてくれば、日経平均株価は再び1万4000円を割り込むでしょう。

世界経済にとって頼みは堅調な米国経済ですが、現状では寒波の悪影響を受けてやや勢いを欠いています。

今朝発表された日本の2013年10~12月期の実質国内総生産(GDP)速報値も物価変動の影響を除いた実質で前期比1.0%(年率換算)増と市場予想を大きく下回りました。

日本は4月には消費増税を控えていますので世界経済を下支えする力は強くありません。

市場の混乱を避けるため、中国政府は当面、理財商品をデフォルトさせないようにする必要があります。

実際、大手信託会社の中誠信託(北京市)が運用していた理財商品のケースでは、未払いだった利子は支払われませんが、第三者の投資家が簿価で理財商品を購入する形で、顧客に元本が返済されることになりました。

中国政府が中期的にこの問題をどうソフトランディング(軟着陸)させられるかが、日米の株価や世界経済の先行きのカギの1つを握っています。

「影の銀行」問題が中国の実体経済や銀行を中心とする金融システムに大きな影響を与えることはないでしょう。

日本株への影響も限定的だと見られています。

中国政府の統制強化もあって、1~3カ月など短期で満期を迎える理財商品の発行は急速に減っています。

中国政府は市場の混乱を避けるために当面、デフォルトも起こさないようにするとみられます。

1990年代の日本の金融不安時と違い、中国では銀行の貸し出し増と高い経済成長が続いています。

理財商品が大量に償還される2019年までには時間があり、それまでに中国経済が一定の成長を維持していければ、大きなデフォルト懸念が出ることはないでしょう。

中国政府が資本規制をしているため、海外投資家への影響も小さいと考えられます。

問題は市場関係者の受け止め方です。

米国が量的緩和を縮小し始めたころから、新興国経済からの資金流出への懸念は強まっています。

投資家の不安を映して日米の株価などのボラティリティー(価格変動率)も高まっています。

海外のヘッジファンドなどが、中国の影の銀行問題を理由に円買い・日本株売りを仕掛けてくる可能性は否定できません。