信じたいという欲望「信念」の正体とは?

人は全力で自分の信念を守ろうとします。

説得したい相手の信念がどんなものか理解できれば、相手の信念を土台にして説得することができます。

相手の信念を根本から変えさせようとしたり、新しい信念を形成させたりしようとするよりも、その方が良いケースが多いようです。

ストレス、悩み、混乱の原因になっている問題の解決策を模索しているとき、人は最も信念を変えやすい状態にあります。

解放感が引き金となり、新しい信念が形成されやすい状況になります。

新しい信念、考え方を提示するときは確信を持ち、信頼感を得られるような態度で臨み、新しい信念、考え方が受け入れられやすい環境をつくることが大切です。

誰もが何かを信じたいという欲望を抱いています。

説得者がすべき仕事は、説得したい相手が信じるべき考え方を植え付けることや、相手が自分で信念を形成できるよう導くことです。




自分の信念やシェーマを制御できる人は、説得者として最適です。

人間は選択的知覚パターンを通して、実態よりも信念を信じる傾向があります。

すでに築かれている精神構造やシェーマ(外界の認識様式)によって、周囲にある情報を系統化および単純化します。

こうして出来上がったモデルや基準を自分、他人、好き嫌いの ほぼ全てに当てはめるのです。

シェーマはフィルタの役割を果たすもので、状況を構成する様々な要素を私たちに見せたり、あるいは隠したりします。

これにより、「自分の見たものはこうである」という思い込みや信念が裏付けられるのです。

たとえば、慎ましい服装をしていて あまり賢くなさそうだと思っていた人物が、実は頭の良い魅力あふれる人物だと後に判明するケース。

最初に会ったときに その人が庭や車の手入れをしていたせいで、そう思い込んでしまったなんて経験は誰にでもあるでしょう。

私たちの多くが陥りがちな問題は、あるものを見た瞬間に それを自分のシェーマに適合する形で解釈してしまい、自分の信念や思い込みが目の前の状況にふさわしいかどうか精査しないことです。

効果的な説得をしたければ、自分の中で創り上げられたモデルや基準や信念が絶対に正しいと思い込まず、まず疑ってみることが大切です。

それから、自分のモデルや基準や信念が今の状況を正しくとらえているかどうか精査しなければなりません。

信念や心の中で創られたモデルや基準がもたらす問題は他にもあります。

否定しようのない明らかな証拠がある状況であっても、人間は自分の信念に固執してしまうのです。

これは、自分の解釈に合わないものを無視する傾向があることに起因しています。

効果的な説得をしたければ、まずは相手の信念をよく精査しなくてはいけません。

次いで、あなたの見解が正しいかどうか確認するため、相手にその信念を再確認させます。

確認が取れたら、相手の信念を再構築し、そこにあなたの見解を付け加える作業に入ればいいのです。

変えたいと思っている相手がいる、あるいは変えさせたいと思っている信念があるなら、あなたも自分の信念に柔軟性を持たせ、そうした人々に照らし合わせて自分のシェーマを定期的に試す必要があります。

そして、自分の信念に疑問を抱くよう相手を促し、新たに検討してもらいたい考え方やそれを裏付ける証拠を取り込むよう促さなくてはならないのです。

信念や思い込みは、状況や説得したい相手のコンディション次第で瞬時に変わることもあれば、時間をかけて少しずつ変化することもあります。

これは興味深い現象です。

特定の問題や出来事に対する不安やストレスを溜めこんでいる人は、どんなものであれ解決策を真剣に求めており、解決策を見つけたことに対して大きな解放感を味わいます。

その解放感と達成感により、新たな信念が形成される余地が瞬時に生まれるのです。

これは、カルト宗教の勧誘者が最初の会話で使う手口でもあります。

説得したい相手が抱えているストレスがどんなものか分かれば、あなたも この手法の効果を実感できるでしょう。

問題から解放されたい、救われたいという欲望は、信念を一瞬のうちに変えさせる下地をつくるのです。

説得を始めると、相手の信念をつい自分と同じものに変えさせたくなってしまいます。

しかし、最大の目的は「相手を自分の思い通りの行動に導く」ことなのですから、あなたの見解を完全に理解させたり、相手の考え方を完全に変えさせたりする必要はありません。

ときには、相手の信念を一時的に保留させるだけで、あなたが提供したいと思っている新しい考え方を提示できるチャンスが訪れることがあります。

それ以外にも、相手の信念に疑問を抱かせるだけで済むときもあるでしょう。

説得者の最終目的とは新しい考えを創り出し、相手の信念を改めさせ、あなたの信念も取り入れてもらえるよう導くことなのです。

信念を変えさせるのが最も困難なのは、信じることに強く依存しているケースと根拠が存在しないケースです。

宗教上の信仰を変えさせることが難しいのは、それなりの理由があります。

もし あなたがカソリック教徒をイスラム教徒に改宗させたいと思っているのなら、諦めたほうがいいでしょう。

両者とも表面的には同じものを信仰しているので、根本的な意味で大きな信念を変えさせる必要はないでしょうが、改宗させるためには小さな信念をたくさん、それも劇的に変えさせなければなりません。

また、信者が絶対的な言葉で価値観を植え付けられている傾向があることも、改宗させることが難しい理由のひとつです。

信念の問題は、広告関係者を日々悩ませているものの1つでもあります。

20年間愛用してきた製品から、なじみのない銘柄に乗り換えさせる方法はどんなものなのでしょうか?

その答えは あなたが思っているほど難しいものではないかもしれませんが、それが適切に運用されるケースは非常に稀です。

信念は記憶や繰り返される頻度、新しいメッセージを伝える人物の信頼性と深く関わっています。


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