レモンが酸っぱい

果汁たっぷりのレモンを想像してみてください。

それを手に持ち、鼻へ持っていき、深く息を吸ってみましょう。

大きくて鋭利なナイフを手に取り、レモンを4等分します。

そのうちの2切れを取り、口を開けて2切れとも口の中へ搾ります。

酸っぱい果汁が唇の上にほとばしり、舌を流れて喉を下りていきます。

そのレモンがどんな味か、想像できますか?

レモンが手元にないにもかかわらず、ほとんどの人がレモンを感じ、味わうことでしょう。

聞き手が想像する映像が「鮮明でカラフルな画面」なのか「暗くぼんやりして色あせた画面」なのかは、言葉の組み立て方を知って話すかどうかの違いによります。

説得力に長(た)けた人は、実際には経験したことのないものを言葉で巧みに作り出します。

私たちの経験を構成する要素は5つあり、それはそれぞれの頭文字を取って「VAKOG」と表されます。

V(visual:視覚)・・・見えるもの

A(auditory:聴覚)・・・音

K(kinesthetic:触覚)・・・触れて感じるもの

O(olfactory:嗅覚)・・・匂い

G(gustatory:味覚)・・・味

あなたが経験するものは全てこの5つの要素の結合です。

過去の記憶を通して それを追体験できるのは、あなたの脳がこれらの要素をミックスして記号化したもののパターンを再生させるからです。

これらの要素を“内面における再現要素(Internal Representations)”と呼びます。

脳はこれを使って経験を再現するのです。

VAKOGは人間の経験すべてのレシピなのです。

重要なのは、あなたが顧客の脳に組み込む「内面における再現要素」とセールストークの効果は直接関係しているということです。

伝えること(tell)と売ること(sell)は同じではありません。

たとえどんなに上手な話し方であろうとも、伝えるだけでは売っていることにはなりません。

人を動かして行動させるのでない限り、伝えるというのは単にしゃべっているに過ぎない行為です。

売るというのは、人々を説いて“行動を起こさせる”こと(売る側からすれば、こちらにお金を渡させること)なのです。

必要なのは“詳細な内容”を提示するということです。

すなわちVAKOG(内面における再現要素)を喚起する言葉を注意深く選んで、言っていることをクリアに思い描いてもらうということです。