起業家
政府は6月にまとめる成長戦略で、ベンチャー企業への投資を促すための税制優遇の拡大を盛り込む検討に入りました。

経済成長に不可欠な企業の新陳代謝を促す狙いです。

併せて、補助金で起業家に一定の年収を保証する制度も創設し、優れたアイデアを持った人が創業しやすい環境を整えます。

会社勤めの人の独立や創業をしやすくする兼業や副業の指針も整備します。

ベンチャー支援

政府は昨年まとめた成長戦略で日本の開業率を欧米並みの10%に引き上げる目標を定めました。

しかし、現状では半分以下の4.5%と低く、一連の施策によってテコ入れを図ることにしました。

柱の一つはベンチャー企業への投資を促す「エンジェル税制」の拡充です。

現在は税優遇が認められる投資対象の企業は「設立から3年未満」ですが、2015年度にも「5年未満」まで要件を緩和します。

資金繰りが厳しい時期のベンチャーに投資家の資金が集まりやすくし、経営が安定軌道に乗るのを手助けします。

所得から控除できる金額の上限も引き上げます。

投資した金額とほぼ同額を控除する原則ですが、上限の1000万円を超えてベンチャー企業に出資した分は控除されないため、より多く投資する意欲が薄れるとの批判があります。

現状の上限額である1000万円を数千万円に引き上げる案があります。

投資対象を経営状態の悪い企業に限る「営業キャッシュフローが赤字」という条件もなくし、黒字企業も対象に加える方針です。

エンジェル税制を利用する企業数は年間で48社(13年度)しかありません。

これを使った投資額もピークの2008年度で11億円と、同様の税制が充実している英国の数十分の1~100分の1にとどまっています。

政府は一連の施策を年末にまとめる2015年度税制改正大綱に盛り込むことをめざし、与党と調整します。

成長戦略や税制改正に関連して、経済産業省はさらに起業家の収入と活動費用を保証する取り組みも始めます。

所管の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が年10~15組の起業家を公募し、1人あたり500万円の年収と1組あたり年1500万円の活動費を支給します。

5月から起業家を募り、7月から資金を支給します。

最大で2年間、起業家の生活を保証します。

開業率を飛躍的に向上させたフランスのサルコジ前政権を参考にした施策ですが、企業家精神と安定した生活の保証の両立が課題になるとみられます。

経産省は会社員が職に就いたまま起業を準備できるように「兼業・副業」のガイドラインを早ければ年内にも策定します。

全国の個人に聞いたアンケート調査では企業の7割が兼業や副業を認めていませんが、従業員の5割は「認められればやりたい」と回答しています。

企業の従業員が安定した職を維持しながら独立の準備を進めるのを容認するように、政府は産業界に働きかけます。