生活保護改正で疎遠な親族の扶養も。突然、収入・資産が丸裸に

生活保護改正
生活保護は、要保護者本人(その他扶養義務者や親族)等が申請を行うことから手続が始まるのが原則です(生活保護法7条)。

この申請を受け、行政側において各種の調査を行い、生活保護利用開始(または却下)の決定を行うことになります。




ところが実際には、「生活保護を利用したいのですが」と訪れた申請希望者に対し、福祉事務所の窓口で「まだ若いから働けるはず」「子どもや兄弟がいるなら援助してもらって」「自動車や持ち家がある人は受給できない」などと言って生活保護申請用紙を渡さず、「相談」扱いとして追い返してしまう事例が多いと言われます(いわゆる「水際作戦」)。

すなわち福祉事務所が申請を事実上拒否する、あるいは誤った説明をして申請を断念させるといった審査以前に問題点があると言われています。

さらに、昨年12月に成立した改正生活保護法(本年7月1日施行)は、生活保護支給基準の引き下げのほか、不正受給対策として福祉事務所の調査権限を拡大するものとなっており、結果として、生活保護申請を断念する人が続出するのではないかと言われています。

今回の改正法では、要保護者本人以外に、扶養義務者への調査が拡大しているのが特徴的です。

すなわち、扶養義務を履行していないと認められる扶養義務者に対して、保護開始決定前に書面による通知が行われ(同法24条8項)、福祉事務所が扶養義務者に報告を求めたり(同条2項)、扶養義務者の氏名・住所・資産・収入等について官公署や日本年金機構、金融機関、雇用主等へ照会したり(関係先調査。同法29条1項2号)できるようになっています(関係先には回答義務も課されています。同条2項)。

そして、生活保護法での扶養義務者の範囲は、民法と同様とされていますが、民法の規定は直系血族と兄弟姉妹のほか特別の事情があれば3親等内の親族にも認められるものと諸外国に例を見ないほど広い範囲に及んでいます(752条、877条等)。

そうなると、法律上は扶養義務があるものの、事情があって疎遠になっている親族が生活保護を受けようとしたところ、ある日突然、福祉事務所からの扶養照会が来て自分の収入・資産が丸裸にされ、「自分が親族を見捨てたから」保護開始決定がなされたかのような書面が届く可能性があるのです。

この点に関し、生活保護法改正の国会において政府は、これまでの取り扱いと変更がないと答弁していました。

しかし、省令案(具体的に実務の指針となるきまり)は,この答弁等に明らかに反するものとなっており、今月3月18日、日弁連も全面的に見直すべきだとの意見書を厚労省に提出しました。


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