債務残高の対GDP比は本当に下げられるのか?

国の借金
債務残高の対GDP比を低下させることが重要なのは、政府も理解していて、すでに財政健全化目標というものが立てられています。




具体的には、遅くても2015年までに国と地方の基礎的財政収支の対GDP比の赤字を、2010年の半分にすることを中間目標として掲げています。

2010年度の対GDP比の赤字は6.4%だったので、これを2015年までに3.2%以下にする計画です。

また、「2021年度以降において、国・地方の公的債務等残高の対GDP比を安定的に低下させる」という目標も掲げています。

2021年度以降に公的債務残高の対GDP比率を下げるということは、まずは2020年までに基礎的財政収支が黒字化していなくてはいけないのですが、そんなことは可能なのでしょうか?

この件に関しては、昨年8月、まだ民主党政権だった当時の政府が「経済財政の中長期試算」というものを出しているので紹介します。

成長戦略シナリオと慎重シナリオ

上の図表を見てください。

これは政府が描いた2つのシナリオ(成長戦略シナリオと慎重シナリオ)で経済が推移した場合、基礎的財政収支が対GDP比で、どれだけ減るかシミュレーションしたものです。

このシミュレーションは2012年8月に発表されたものですが、これに2012年の実績値と2013年の予算ベースの数字を当てはめてみると、シナリオよりもだいぶ下振れしてしまっているのが分かります。

この段階で、「政府が言っている目標は到達不可能だ」と考えるのが普通の反応かと思います。

しかし、実は計算してみると、2015年に基礎的財政収支の対GDP比を3.2%以下にするという目標は、意外なことに達成不可能ではないことが分かります。

そもそも2012年と2013年に基礎的財政収支がシナリオよりも下振れしてしまったのは、景気対策のため財政政策を行ったことに起因します。

2013年度はアベノミクスの効果で景気が良くなってきているので、税収の増加が期待できますし、また、2014年と2015年には消費税の引き上げが予定されています。

予定どおりに計5%、消費税を上げることができれば、それだけで対GDP比2%分ほど歳入が増えます。

さらに、今年アベノミクスでは補正予算を組んで5兆円の国債を発行しましたが、これが無くなれば先程の消費税増税分と合わせて収支は対GDP比1%分ほど改善する計算になります。

そして公共投資以外も含めれば、基礎的財政収支の対GDP比は4%程度改善します。

2013年の基礎的財政収支の対GDP比の赤字は6.9%なので、4%程度改善すれば、2015年までに対GDP比の赤字を半減する中間目標は達成できる計算になるのです。

もちろん、消費税が計画どおりに上げられなかったり、また、2014年以降も補正予算を組むことになれば話は別ですが、政府試算もあながち実行不可能ということではないのです。

しかし、先の図表を見ても明らかなように、2020年までに基礎的財政収支を黒字にするという最終目標は、現段階の試算では、仮に成長戦略シナリオとおりにいったとしても到達できません。

ちなみに成長戦略シナリオでは実質成長率2%強、名目成長率を3%強と見込んでいます。

一方の慎重シナリオでも、実質成長率約1%、名目2%の成長を想定しています。

これらのシナリオどおりにいったとしても、2020年に基礎的財政収支を黒字化するには、成長戦略シナリオで8.5兆円、慎重シナリオでは15.4兆円も足りないので、公約実現のためには追加の方策が必要となります。

現段階では、不足分をどうやって補っていくのかに関して、安倍首相は明言していませんが、おそらく今後、社会保障と税の一体改革で踏み込んだ策が提示されるのではないかと期待されています。


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