ドル上昇、金利上昇で債務危機が日本に迫っている

ドル上昇
アメリカでは、量的緩和が近く縮小されるという見方を背景に長期金利の上昇が続いています。




8月21日には、7月30日と31日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録で、米連邦準備理事会(FRB)が9月に資産買い入れ(量的緩和)の縮小を始めるという従来の見方を覆す内容でなかったと受け止められたため、長期金利の代表的な指標となっている10年ものの国債の利回りは2.89%と、2年1か月ぶりの水準まで上昇しました。

この影響で、資金を新興国から引き揚げてアメリカのドルに振り向ける動きが加速し、8月21日のニューヨーク外国為替市場では、新興国通貨がドルに対して軒並み大きく値を下げました。

このうち、インドのルピーとトルコのリラがドルに対してこれまでの最安値を更新したほか、ブラジルの通貨レアルも4年8か月ぶりの安値をつけました。

インドのチダムバラム財務相は8月22日、このところの指標から、今年度の経常赤字は当初予想の700億ドルを下回る可能性があるとの見方を示しました。

ルピーがこの日、対ドルで65.56ルピーの過去最安値をつけたことに関しては、過小評価されているとの認識を示しました。

また、今年度第1・四半期の国内総生産(GDP)成長率は横ばいですが、年度内残りの四半期は上昇すると見通しを述べました。

さらに、在外インド人を対象にしたソブリン債発行の可能性を排除していないと表明し、記者団に「すべての選択肢が検討対象となっている」と述べました。

このように、資金の流出が経済に及ぼす影響に懸念が強まっています。

FOMC議事録の中で委員は失業率が量的緩和第3弾開始以降に大きく低下したことも認めていますが、労働市場が緩和縮小を正当化できるほど改善されているかどうかを判断する材料として政策担当者や投資家が注目しているのが、9月6日に発表される8月の米雇用統計です。

黒田東彦日銀総裁は8月21日付毎日新聞のインタビューで、消費増税などで景気失速リスクが高まる場合には追加緩和をためらわない姿勢を表明しました。

これを受け円が売られた面もありました。

安倍首相は増税が経済に与える影響を検証する専門家チームを立ち上げています。

首相は来月にも、最終的な決断を下すとされています。

消費税に関して、安倍首相には厄介な課題があります。

歳入が増えれば、政府の利払い負担は軽減され、他の政策に必要な資金が増えますので、首相は増税を通じて歳入増加を実現したいのが本音です。

しかし、個人消費は日本のGDPの60%にも上りますから、消費増税による消費の減速の影響は避けたいところです。

1997年、消費税を3%から5%に引き上げた直後から、日本は景気後退に突入し、政府債務のGDP比は急上昇しました。

当時のアジア経済危機が日本の景気低迷に深刻な影響を及ぼしたことも事実ですが、消費増税が急激にマイナスの作用を与えたことは間違いありません。

格付け会社はすでに、もし日本が消費税の増税を遅らせた場合、日本国債の格付けを引き下げるだろうと示唆しています。

増税を延期すれば結局、債務負担が増すことになり、国内の債券市場は不安定になります。

さらに、世界の投資家からは日本政府の景気回復プログラムへの信頼が損なわれることでしょう。

消費増税と同時に、補正予算、民間設備投資に対する税制上の優遇措置を組み合わせる方法も考えられますが、この方法で増税分を相殺できるかといえば、そううまくいかないのではないかとの見方が多いようです。

米国は9月、毎月850億ドルに上る量的緩和を縮小するか決定を下すと金利上昇リスクが強まります。

これが、セプテイパーリスク
Septaper=September(9月)とtaper(先細り)を組み合わせた造語です。

米国の金利上昇は世界中の金利へ上昇圧力となり、日本も無関係ではいられません。

日本は金利を上昇させることなくインフレを引き起こそうとしています。

日本で金利がわずかでも上昇すれば、確実に債務危機につながるからです。

名目CPIの上昇はほとんど燃料費の高騰によるものです。

日本はエネルギーを大量に必要とする、エネルギー自給率が低い国ですから、円安の影響で輸入コストがかさむようになりました。

さらに重要なのは、コストだけが上昇し、賃金はこれまで通りだということです。

実質賃金が変わらず、一方で消費税率引き上げが迫っている状況で、明るい未来図が描けるわけがありません。

アベノミクスが効果を表すには、実質賃金の上昇が必要です。

さらに深刻なのは、政府債務が膨らみ続けていることです。

現在はGDPの240%ですが、国際通貨基金(IMF)は今年末には250%に到達すると予想しています。

政府債務が政府歳入の24倍で、利払い負担が政府歳入の25%にも上るのですから、これは大問題です。

利払い負担の増加は日本政府が、高齢化に伴う社会保障など他の課題にお金を使えなくなることを意味します。

主要国の債務状況(2013年推計)は下記のとおりです。
%は「対GDP」の割合を表します。

1 日本 228.4%
2 ギリシャ 183.7%
3 イタリア 143.6%
4 ポルトガル 142.8%
5 アイルランド 129.3%
6 アイスランド 128.6%
7 フランス 113.5%
8 米国 109.1%
8 英国 109.1%
10 スペイン 97.8%


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