米国の借り入れ能力が枯渇するまであと数週間しかない

米連邦債務
米国のルー財務長官は8月22日、「米国の借り入れ能力が枯渇するまであと数週間しかない」との見解を示しました。




米連邦債務は5月17日に約16兆7000億ドルの上限に達しました。

8月2日、連邦債務の上限到達を遅らせるために実施している公務員退職・障害者基金への投資凍結を10月11日まで延長したことで、130億ドルの余裕が生じるのですが、議会に9月の債務上限引き上げを促すべく、オバマ政権から新たな警告が発せられたわけです。

この日、ルー長官は議員に「ぎりぎりまで行動を起こさないのは金融市場を危険にさらしかねず、完全に回避可能で無責任な経済的打撃を投資家と国家に及ぼす恐れがある」と強調した書簡を送りました。

また、米議会は10月1日までに、次会計年度の政府歳出を確保する法案を承認する必要があり、連邦債務の上限引き上げ問題とともに険しい山に挑まなければなりません。

財務省関係者は8月初め、現在の収支見通しを踏まえると、議会はレーバーデー(9月2日)後に休会が明けてから借り入れ上限問題に取り組むことも可能だとの見方を示しましたが、ルー長官は講演で、政府の借り入れ能力が尽き、デフォルト(債務不履行)に陥る恐れがある時期を正確に示すのはまだ不可能だと再び言明しました。

ワシントンのシンクタンク、超党派政策センター(BPC)は、政府の借り入れ能力が尽きるのが10月半ばから11月半ばになると見込んでいます。

財務省は、今春議会に宛てた書簡で概略を示した可能な措置をまだ全て実施していないため、さらに余裕が残っていることがうかがえます。

2年前には、債務上限をめぐる土壇場での与野党の攻防を理由に、格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)が米国債の格下げに踏み切りました。

こうした政治的攻防から企業の間で不透明感が高まり、消費者信頼感が低下したうえ、経済成長が失速した2011年と同じような打撃を避けるために、ルー長官は議会に対し、迅速に行動するよう要請しました。

2011年8月、米国財務省はS&Pが約2兆ドルの算出ミスをしていることを指摘しつつ、S&Pによる債務分析に欠陥があると発表しています。

ホワイトハウスの経済諮問会議の議長であるAustan Goolsbeeは、その2兆ドルの計算エラーをS&Pがチェックし忘れていたことを酷評し、計算ミスをしなかった格付け会社は米国債にAAAを与えていたと述べました。

FRBの前議長を務めていたアラン・グリーンスパンは、そもそも米国政府は通貨を発行できる(print money)ので米国政府が債務不履行に陥ることはない(zero probability of default)と断言しています。

ハーバード大学の元学長であり前国家経済会議(NEC)委員長であるローレンス・サマーズは、前歴をもつS&Pの数学的能力に疑問を呈する発言をしています。

2002年に日本国債が格下げされた際、日本の財務省は「日米など先進国の自国通貨建ての国債の債務不履行はありえない」として文書で抗議しました。

その中で財務省は、「日本は世界最大の貯蓄過剰国、経常収支は黒字で世界最大の対外純債権国さらには外貨準備も世界最高であり、国債が極めて低金利で安定的に国内で消化されている」と主張しています。

デフォルト(債務不履行)に陥る恐れを金融市場に予感させないために、日米ともに格付け会社に対しては、強力なアクションを起こすはずです。


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