パンダが竹だけで生きていけるメカニズムが解明された(続編)

パンダ
人間に棲み処(すみか)を追われ、高緯度地域に辿り着いたパンダ。

その地域には、これまでパンダがエサとしてきたような動物は少なく、肉食を続けることは不可能でした。

何日間も絶食状態が続いたパンダはそこで、生えている竹や笹を口にしたのでしょう。




もちろん、パンダはセルロースを分解できるわけではなく、竹をいくらたくさん食べても、栄養にはなりません。

しかし、その地に草食動物がいる限り、セルロース分解菌は必ず存在します。

草食動物の消化管内にいる常在菌(=セルロース分解菌)で、排泄物と一緒に外に出てしまった細菌です。

これらの細菌は当然、竹の表面にも付着していて、パンダは竹と共に、これらの細菌も摂取します。

そのうちの大部分の細菌は、胃酸で消化されてしまうでしょうが、一部の菌は生きたまま、竹の破片と共にパンダの大腸に運ばれます。

ここで、パンダの大腸に到達したセルロース分解菌の身になって考えてみましょう。

細菌は、温度や酸素濃度などが生息条件から大きく外れていなければ、水と微量の栄養分で生存・増殖できる生物です。

つまり、セルロース分解菌の側からすると、パンダの大腸も、その他の草食動物の大腸も、環境的には違いはわずかです。

それこそ、竹の葉の表面に比べたら「住み慣れた環境」といっていいくらいでしょう。

あとはパンダが竹や笹を食べてくれるのを待つだけです。

また、肉食動物の腸内細菌は、草食動物の腸内細菌に比べると圧倒的に数も種類も少ないです。

肉食動物はそもそも、腸管内共生細菌に消化や栄養素付加を委(ゆだ)ねられている部分が少なく、常在菌の数も種類も多数は必要としないからです。

これは肉食時代のパンダも同様だったと考えられます。

おまけに、本来の棲み処を追われたパンダは、エサを捕ることができず、絶食状態が続いていたから、腸内細菌は極限状態まで少なくなっていたはずです。

つまり、新参者のセルロース分解菌にとっては、競合相手が極端に少ない状態です。

これなら、パンダの腸管内でも、セルロース分解菌は生息域を拡大できるはずです。

そして、セルロース分解菌にとっても、パンダの腸管に潜り込めたのは幸運だったはずです。

何しろ彼らは「哺乳類の腸管」でしか生きていけない生物であり、自然界に放り出されたら死滅するしかないからです。

腸管常在菌は基本的に嫌気性菌ですが、腸管の外の世界は酸素でいっぱいだからです。

つまり、腸管以外の環境は、彼らにとって不毛の荒野であり、潜り込めさえすれば、馬の腸管だろうが羊の腸管だろうが、パンダの腸管だろうが、人間の腸管だろうが、変わりはないはずです。

競合する細菌が少なく、宿主が植物を食べて良く噛んで飲み込んでくれさえすれば、そこでコロニーを作れるチャンスがあります。

そして、パンダの大腸に、噛み砕かれた竹と共に到達したセルロース分解菌は、それまでしてきたようにセルロースの分解を始め、短鎖脂肪酸やビタミンを分泌し始めます。

彼らにとっては、日常に戻ったようなものです。

そして、それらはパンダの栄養源となりました。

新たな棲み処でも肉食の習慣を捨てようとしなかったパンダは滅び、竹や笹という未知の食物を口にしたもののみが、生き延びることが出来たと想像されます。

もちろん竹や笹だけ食べているパンダは、タンパク質(アミノ酸)をどこから調達しているのかという疑問が残ります。

残念ながら、現時点でのパンダに関する研究では、この謎を解き明かしてくれるものはなく、今後の研究を待ちたいと思います。

いずれにしても、肉食パンダが短期間に草食パンダに変身したことは事実です。

しかも、その変身は1週間程度の短い日数で成し遂げられたはずです。

食を絶たれた肉食パンダが生きられるのは、そのくらいが限界だからです。

この変化が現実に起きたのであれば、他の動物に起きても不思議ではありません。


カテゴリー: 健康管理 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。