日本国債
中国からの日本国債への資金が流出しています。

財務省によりますと、中国は2013年に、日本の中長期債などの債券を約4000億円売り越しました。

2014年に入ってからは売りの勢いが増し、すでに6000億円超を売り越しました。

一方で米国債については800億ドル超を買い越しています。

背景には中期的な円の先安観があるとみられますが、市場では日中関係の悪化が背景にあると勘繰る向きもあります。

売越額、2014年は6000億円超に拡大

財務省の統計によりますと、2013年の中国の日本の中長期債の売買は2兆3766億円の売り越しでした。

短期債は1兆9689億円買い越したものの、債券全体でみれば、売越額は4000億円超と2012年の約1.8倍に膨らみました。

2014年に入ってもこの流れは続き、中国は7月までに日本の債券を約6600億円売り越しています。

欧州の財政危機に対する市場の不安が高まった2010年前半、中国は急増する外貨準備の資金を分散するため、日本国債への投資を拡大させているとみられていました。

ですが2011年には東日本大震災や福島第一原子力発電所の事故などを受けて売越額が急拡大。

その後も売り越し基調が続いています。

円安で資産価値目減りを懸念

足元での中国の「日本売り」の背景には何があるのでしょうか。

市場では「円相場が中期的に下落するとの見方が影響しているのではないか」との見方が有力です。

円安になれば、中国が保有する日本国債などの価値が下がってしまうためです。

実際、昨年4月の日銀の異次元緩和後に円相場は1ドル=90円台前半から109円台まで下落。

市場では、米利上げ観測の高まりによる日米金利差の拡大を受けて、円相場はほどなく110円台まで下落するとの見方もあります。

異次元緩和で影響みられず

一部の債券アナリストからは「尖閣諸島などを巡る日中関係の悪化を受けて、中国が日本国債への売りを膨らませているのではないか」との見方も浮上しています。

日本政府が2012年9月に沖縄県・尖閣諸島を国有化したことなどを巡って対立が激しくなり、中国側が財政事情の厳しい日本の国債を売っているとの見方です。

一般に中国などが大量の日本国債を売れば、日本の金利に上昇圧力がかかります。

ただ日銀が昨年4月に異次元緩和を導入し、大量の国債を購入しているため、今のところ債券市場にほとんど影響は出ていません。

市場では、中国の投資ファンドとみられる「OD05」が昨秋から日本企業の上位株主から相次いで姿を消したことについて、「信託名義を換えただけで、実際は投資している」との臆測が流れています。

このため「債券でも同様の動きがあるのではないか」との観測もあります。

一方で「理財商品の債務不履行(デフォルト)問題を懸念する中国政府などが、資産を売却してリスクに備えているのではないか」との見方もあります。

中国の「日本売り」を巡って、さまざまな臆測が流れる金融市場。

ただ、その根拠はそれぞれ決め手を欠いています。

中国資金の日本流出が加速するようなら、売りの背景を巡る市場の関心はますます高まりそうです。