年金支給開始年齢の引き上げが暴挙とはいえない理由

国民年金
社会保障費の削減策の1つとして「社会保障費の不正受給を防止するには納税者番号制度が有効」という記事を書きましたが、年金の支給開始年齢の引き上げという削減策もあります。




支給開始年齢が65歳まで引き上げられるのは、基礎年金の部分が2018年、報酬比例部分が2030年ですが、これを68歳にするという議論が進んでいます。

この話に憤慨する人が多いのですが、年金そのものの仕組みを考えると理解できる事実があります。

日本の年金制度ができたのは、昭和36年のことです。

当時から年金の支給開始年齢は60歳だったのですが、当時の平均寿命は68歳。

つまり、年金の平均支給期間は、たったの8年間だったのです。

一方、現在の日本人の平均寿命は80歳を超えていますので、支給開始が60歳のままだと、平均20年間以上も年金を受け取ることになります。

もともと8年間支給する前提で考えられた仕組みで、20年間も支給しようとすること自体に無理があるのは疑う余地がありません。

このような状況の変化を勘案すると、支給開始年齢を70歳近くに引き上げるのは、まったく妥当性を欠いた話ではないのです。

実際、欧米では平均寿命が日本より短いにもかかわらず、年金の支給開始年齢をアメリカは2027年に67歳、イギリスは2046年に68歳、ドイツでは2029年に67歳に、それぞれ引き上げることが決まっているのです。

年金支給開始年齢

なお、今後の経済状況次第では、すでに行われている物価スライド(年金の支給額を物価変動に応じて調整すること)を物価下落局面でも実施することや、消費税率引き上げ時に物価スライドを修正することも、無視できない財政収支改善効果をもたらすことが期待されます。

さらに、公的年金の運用資産の多様化も無視できません。

事実、政府は2013年の7月に「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」を立ち上げ、現在110兆円を超える公的年金資金を運用する機関の運用体制や資金配分を見直しています。

政府の成長戦略の中でも、公的年金の統治や収益性向上のための提言を、2013年秋までにまとめるとしています。

こうした運用体制の強化という観点では、海外の公的年金の運用状況が参考になります。

日本では、これまでデフレで金利も低水準にあったため、運用資金の4分の3を債券で運用してきましたが、アメリカやカナダ、ノルウェーなどでは、公的年金の運用資金の実に6割以上を株式で運用しており、日本よりも高い運用実績を残しています。

年金運用実績

こうした運用強化で公的年金の運用実績が高まれば、将来の負担増の縮減に寄与することが期待されます。


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