年金制度は破綻しないが問題先送りが繰り返されると・・・

国民年金
公的年金の運用利回りは2012年度に10%の大台に乗り、11兆円に上る運用益を稼ぎ出しました。

これにより、2011年度までに発生していた3兆円もの不足額を埋め合わせることができました。

今年度に入ってからも運用環境は悪くなく、特に日本株は11月に入り再び騰勢を強めています。

これも年金財政に大きくプラスに働くでしょう。

アベノミクスに助けられ、年金制度は小康状態にあるように見えます。

しかし、本当の試練はもう少し後に訪れます。




恐らくは2020年東京五輪の熱狂が過ぎ去った2030年~2040年にかけてでしょう。

年金の掛け金を払う被保険者数は減少ペースを速め、逆に受給者はピークを迎えます。

それなのに積立金が増えるのは2020年以降、賃金の上昇率を2.5%、運用利回りを4.1%と想定しているためです。

4.1%という利回りは、プロの投資の世界では際立って強気な数字ではありません。

しかし、本格的な人口減少社会を迎える中、2100年まで80年間にわたって、変わらずこの運用成績を残せるかは不透明です。

日本経済がデフレ脱却を果たし、日経平均株価4万円といったことが実現すれば、確かに年金問題は解消するでしょう。

ただ、利回りなどの前提をいつまでも持続できると考えるのは現実的ではありません。

そうなると、やはり年金制度は破綻してしまうのでしょうか。

結論を言えば、破綻することはないでしょう。

政府は5年に1度、年金制度の現状を検証し、その時点から約100年にわたる年金制度の青写真を描きます。

前回は2009年で、次回は2014年。

ローリング方式で、その時々の財政、運用環境を基に数字を置き換えていきます。

つまり、その時点から100年間、持つように設計をします。

ですから、制度そのものの破綻はないという論法です。

一方、年金の給付額がどうなるかは分かりません。

支給する原資がなくなれば、現在のルールを見直してでも給付を減らすほかなくなってしまうでしょう。

ひとつ言えるのは、甘い見通しを持ったまま、問題を先送りするのは危険であるということです。

今年の秋から、物価の下落を反映せずに多めに支給していた年金(特例水準)を本来の水準に戻す作業が始まりました。

今、年金を受け取っている人たちからすれば、本来の水準よりわずか2.5%高いだけなのですから、できれば維持してほしいと考えるでしょう。

ですが、これまでに多く払った年金は累計で7兆円に上ります。

この中には、現役の世代が支払ってきた掛け金が多く含まれます。

問題先送りが、将来の年金受給世代に大きな負担を押しつけることになったのは間違いありません。

このようなことが繰り返されれば年金制度が行き詰ることは必至です。


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