名目成長率を高めれば2020年の基礎的財政収支の黒字化は可能

日本の借金
名目成長率が1%変化すると、税収がどれだけ変化するかという数値を計算したものを「税収弾性値」と言います。




政府の試算では、税収弾性値を1.1程度。 つまり、名目成長率が1%上昇すると、税収が1.1%増えると想定されています。

名目成長率と税収伸び率

これは名目成長率と税収の伸び率をグラフにしたものです。

ご覧いただくとわかるとおり、両者が強い相関関係にあるのがわかります。

1995~2011年の16年間の名目成長率と税収の伸び率の実績値で税収弾性値を改めて計算してみると、実は2.9にもなっているのです。(下の図表参照)

税収弾性値

つまり、この16年間は名目成長率が1%変化すると、税収は2.9%も変化するようになっていて、政府が試算に使っている1.1とは大きく乖離(かいり)しているのです。

たしかに1980年代からの長いスパンで見た税収弾性値は1.1程度なのですが、この数値はすでに今後数年の試算をするには適していないと考えられます。

なぜ、このように税収弾性値が大きくなってきたのか、その理由は法人税にあります。

1980年代のインフレ経済の中では、利益を出して法人税を支払っていた企業が過半数を超えていました。

そのため、名目成長率と税収の伸び率は連動する傾向が強かったのです。

しかし、デフレ経済では事情が異なります。

1990年代後半以降、デフレに突入してからは、法人税を払っている企業は全体の3割程度に落ち込んでしまっているのです。

つまり、大多数の企業が赤字で、法人税を払っていないのです。

名目成長率が上がるということは、景気が好転するということを意味しています。

景気が好転すれば、それまで法人税を支払う必要がなかった企業も黒字になり、新たに法人税を納める企業が増えることが予想されます。

もちろん、以前から黒字で法人税を支払ってきた企業の納める納税額が増えることにもなるので、景気が良くなりさえすれば、法人税収が政府の試算よりも、爆発的に増えても不思議ではないのです。

実は、最近財務省が発表する税収見通しは、振れ幅が極めて大きく、先ごろ発表された昨年度の税収も約1.3兆円、上方修正されました。

この原因は、おそらく政府の税収弾性値の置き方が適切でないことにあると考えています。

これらを勘案すると、仮に政府が想定しているような経済成長率には達しなくても、2020年の基礎的財政収支の黒字化の可能性は、まだ十分にあると考えられます。


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