「劇場型犯罪」や「劇場型政治」など、まるで悪いことのようにイメージされてしまっていますが、本来、劇場型とは、仕事や人生を劇場の舞台と想定し、感動を生み出すエンタテインメントの手法をビジネスに応用する試みです。

ビジネスを「戦略」などのように戦争のアナロジー(比喩表現)ではなく、演劇のアナロジーとして捉えることで、満足の先にある感動の作り方を考えます。

演劇では、観客の観たいものと、演じ手の魅力が重なり合った部分が、感動ポイントとなります。

重ならない部分は、機会損失になるので、双方の価値観を融合させる演出家(プロデューサー)が必要となります。

「演出」も時にマイナスのイメージを抱かれることがあります。

センスのない過剰な演出や、嘘で脚色したりする「演出もどき」のせいで、そういう勘違いが生まれるのでしょう。

演出とは本来、人や作品の魅力を引き出し、他者に伝わるように調和させる技術です。

映画や演劇では、大変重要な要素になり、同じ作品がまるで違う出来栄えになってしまいます。

いい演出家に出会うことで、一気に開花し人気俳優になることも珍しくありません。

ビジネスでは、まだまだ活用されていませんが、一流のリーダーや経営者の中には、演出能力が抜群に高い人が多いようです。

権力や命令ではなく、演出力でインスパイア(感化)し「その気にさせて」自ら動く人を生み出すリーダーです。

「その気にさせる」というアプローチは「やる気にさせる」よりも数倍効果的です。

本来の劇場型とは、観客をテクニックで動かすのではなく、磨かれた演技と洗練された演出力で観客をその気にさせ、魅了し、感動させるアプローチなのです。

「やる気」は その原因がなくなると消失するが、「その気」は本人が変更しない限り、ずっと持続する。