多くの人、さらには教える側も「権威があって、答えを示せる人」が先生だと思っています。本当にそうでしょうか?

本当の先生とは、昔からの言い回しにある通り「青は藍より出でて藍より青し」「出藍の誉れ」にあるように、

  • 自分越えをさせる人
  • 教えたこと以上を、学べるようにする人

です。したがって、優れた知識、技能、権威を持っていたとしても、教え子が、その人を超えられないのでは、教師としては落第です。

私たちは「ティーチャー(Teacher : 教える人)」の代わりに、「ラーニングファシリテーター(学習を促進する人)」が、これから必要だと考えています。

教師、教員、先生など呼び方は旧来のままでも、やっていることは「学習を促進(ラーニングをファシリテート)」することに、シフトしていかなくてはなりません。

プロフェッショナルの定義

「プロ教育者」とは、権威に従わせて正解を教え、追従させることではなく、

  • 学ぶ力を育み、失敗を恐れずチャレンジし
  • 他者と協力して正解にたどり着き
  • さらに、その正解すらも疑い、もっと良い正解を生み出し続ける

そのような「学ぶ天才」を生み出すことです。そして、その結果として「やすやすと、自分越え」をさせていく人々です。

学習をデザインすることで、センスや才能ではなく「正しい努力」をすれば、常に自分の限界にチャレンジできるということを、受講者が学びます。その結果、例えば、サッカーを通じて「学習そのもの」を学び、他の分野も、次々学べるようになります。

また、学習を「他者との競争として、捉え得るのではなく、自分の成長、他者への貢献」として捉えることになり、

  • 寛容
  • 人間尊重
  • 優しさ

といった人として必要な資質を身につけることになります。

「ギャップ」を積極的に発見したり、創り出して、学習を促進します。このことから「チーム学習」といって、多様なメンバーと一緒に学ぶときに、より一層効果を発揮します。

自分とは違う意見を持つ人から、多くの気づきを発見する経験を通して「対立する意見こそ、自分の成長につながる」ことを実感します。これは、多様な価値観がぶつかり合う現代において、非常に重要な姿勢です。価値観の違う人と壁を作り、同じ価値観の人と「蛸壺」を作って閉じてしまうことは、結局、対立の原因になります。

もし、チーム学習を通じて「他者との対立から、第三の知識、アイデアを生む経験」を何度もすることができれば、「他者との間に自己を定義する = 人間」を理解することにつながります。

さらに、他者を尊重する人が集まる場所は、奇跡のようなことが起こります。「わからない」「理解できない」ということを積極的に表現します。また「なぜ?」「どうして?」という疑問も大歓迎をします。

通常の教室では、倦厭(けんえん)されるような「問い」や「発言」を通じて、全体の学び、気づきを引き出します。このような場を経験すると「自分ができない、わからない」が他人の役にたつということを学びます。すると、参加者は、堂々と助けを求めます。

チャレンジする勇気をもらう

勇気を持って「わからない」と発言した人を助けようと、多くの人が知恵を出します。その援助で、できなかった人は「チャンレンジする勇気」をもらいます。そして「その人なりの一歩」を踏み出し、それを全員が喜びとするような場が よく起こります。私たちは、そんな場に居合わせることができた時、「真の教育の場は、受講者とともに作るもの」と確信を強めます。

デジタル vs アナログ

現在、教育は「オンライン」「デジタル化」が進んでいます。オンライン化の議論は、ビッグデータ、データアナリティクス、MOOCs、人工知能と、理解不能な単語が飛び交っています。データを解析して、出題するなどの技術が注目を浴びていますが、学ぶ力を育むか?には、疑問を抱きます。このような流れは「人にしかできないこと」の価値を再認識させることにつながります。

オンライン化が『オフラインの価値』を高める

一昔前、シンセサイザー(デジタル技術であらゆる音を出せる機器)によって、プロの演奏家が廃業になると言われていました。しかし、実際は安価に自由に音が出せる機器が広まったことで「プロの演奏家の価値」が再認識され、仕事が増えました。同様に、音楽CDから、インターネット配信で音楽を聴けるようになり、音楽自体の消費は増え(レコード会社は儲からなくなりましたが)、ライブの価値が上がりました。

ライブ = 予想外の気づき、学びが「価値」となる

教育も同様に、「オンライン化」と「アプリ化」が進めば進むほど、

  • 「人が集まってしかできない学び」
  • 「その場でしか体験できないライブ(予想外の出来事が学びになる)」

の価値が再認識され、それを実現できる「ラーニングファシリテーター」の活躍の場が増えることになります。この「オフラインでしか、できない価値」の追求は、今始まったばかりです。非常に大きなチャンスがあると考えています。

習得の4要素

どれだけ教育システム、デジタル化が進もうが、人間の脳にチップを埋め込み、SFの世界にしない限り、習得には、「4要素が必要」になります。

  1. 方法論 : 何を、どう学習するか?
  2. 緊急性 : すぐに必要なものは、取り組める
  3. 継続性 : 継続的に使う、訓練する機会があれば身につく
  4. 好き(好き、楽しい、興味関心、好奇心) : 1, 2, 3を補完するだけでなく、凌駕することすらある

もっとも大切なもは「好き」になること

オンラインは「いつでも、どこでも」受講できるという利点がある一方、「学習者任せ」に頼っているのが現状です。忙しい日常を送る私たちにとって、オンライン学習で何かを習得するには、「非常に強い意思」を要求されます。習慣を変え、学習する時間を作り、継続させる「意思」を生み出すには「いますぐ必要」という危機的状況がなければ、習得に至りません。

しかし、危機的状況では時間が足りず、その道を諦めることになります。そこで鍵は「好きになること」です。好きになれさえすれば、

  • やめろと言われても、やる
  • 時間は勝手に見つける
  • 情報収集も楽しんで行う

オフラインこそ「好き」を実現できる

あなたの経験を振り返っても、わかるように「オンラインコース」で、何かを好きになるのは難しいです。どちらかというと、嫌いになることの方が多いです。

なぜなら、右も左もわからない中、退屈だった学校の授業形式で講義が進みます。気づけば、眠くなり、挫折します。挫折した自分を見たくないから「嫌い」とラベルを貼って、自分のせいにはしません。

一方で、オフラインなら「逃げも、隠れも」出来ません。集中して、一定時間取り組み「知るを知るとし、知らぬを知らぬとする、これを知るという」という状態を作ります。その結果「好き」「楽しい」という感情が生まれます。

習得の鍵は「オフライン × オンライン」

これから必要なことは、

  • オフラインでしかできないこと
  • オンラインでしかできないこと

を区別し、それらを融合することです。「新しい学びの場」は、

  1. 集まって「チーム学習」を行う
  2. オフラインで「継続学習をサポート」する

です。しかも、サポートの方法は「講義をするのではなく、学習ファシリテーション」によって行います。