消費者の感情を動かし口コミを誘発する5つの琴線スイッチ

クチコミ
消費者の琴線に触れる口コミが広がれば、商品の売り上げが数倍に跳ね上がることも珍しくありません。




しかし、安易に口コミを利用しようとすれば手痛い目にあいます。

2004~2008年頃の口コミマーケティング・ブームに飛びついた多くの企業が自社にとって都合の良い口コミを強制的に発生させる「やらせ・なりすまし・サクラ行為」に手を出し、ステルスマーケティング(通称ステマ)に成り下がってしまったので、消費者の信頼を失い、炎上事故が後を絶たず、ブランド価値の毀損にもつながり失敗してしまいました。

それから5年ほど経ち、多くの企業は学習しました。

口コミをコントロールすることはできない。

いや、そもそもコントロールしようとしてはならない。

良い商品は良い、悪い商品は悪いと語られ、どちらでもない商品は口コミすらされない現実を受け入れなければいけない。

そして、口コミマーケティングとは、自社にとって都合の良い口コミを強制的に発生させることではなく、「ユーザー(消費者)が口コミをしたくなるようなコンテンツを考え、期待する口コミが発生するように企てること」であると理解しました。

では、消費者はどんなときに口コミをしたくなるのでしょうか。

人は、事前期待(想定)と事後評価のギャップが大きいときほど感情ゲージが大きく動き、その心理的なアンバランスを誰かに話し、共有することで、共振・共鳴したくなります。

ですから、口コミマーケティングを企画するときに大切なのは、相手の「どんな感情を動かすか」と「どのくらい大きなギャップが発生するか」という2つのポイントをしっかりと押さえることです。

人間には、琴線(キンセン)という感情が動くツボがあります。

琴線(キンセン)とは「心の奥底にある微妙な感じやすい真情」の事です。

琴線に触れるとは言い換えれば「スイッチを押す」ともいえます。

消費者の琴線スイッチを押すことで、感情を動かし、口コミを誘発するのです。

琴線スイッチには、(1)驚き、(2)疑問・興味、(3)発見・納得、(4)共感、(5)感動の5つがあります。

「驚き」で動く感情・・・おもしろい!(インパクトや手間ひまが)すごい!

「驚き」は、ソーシャルメディアで最も多く押されている琴線スイッチです。

その中には「おもしろい!」と「すごい!」のスイッチが内蔵されています。

琴線スイッチの多くは、驚きや発見、共感など、感嘆符(!)が付くものが多いです。

「疑問・興味」で動く感情・・・自分はどうなんだろう?これって本当?

一方、琴線スイッチの2つめ「疑問・興味」は、その逆となるクエスチョン(?)による感情です。

簡単な質問に答えることで右脳人間か左脳人間かを判定してくれたり、名前を入れるだけで簡単に姓名判断(画数診断)をしてくれたりするなどの「診断アプリ」は、「驚く」「感動する」というほどには感情ゲージが動かないものの、「自分がやったらどういう結果になるのだろう」「その結果を見て、友達はどんな反応をしてくれるだろう」という「疑問・興味」の琴線スイッチが押され、口コミが発生しています。

「発見・納得」で動く感情・・・(役に立つ)便利!なるほど!

3つめの琴線スイッチは、便利で役に立つコンテンツを発見したときや、「なるほど!」と納得した際に押される「発見・納得」のスイッチです。

このスイッチの多くは、NAVERまとめ記事や、Webのニュース記事などにみられます。

「共感」で動く感情・・・(自分もそう思うので)わかる!すてき!かわいい!

4つめの琴線スイッチは「共感」です。

共感は、2011年に「SIPS」という消費行動モデルが提唱されてから、にわかに注目されるようになった感情です。

SIPSは、電通に勤務していた佐藤尚之氏が中心となって組成された電通モダン・コミュニケーション・ラボによって提唱されました。

電通モダン・コミュニケーション・ラボは、ソーシャルメディア時代における生活者の消費行動モデルを、S(Sympathize:共感する)→I(Identify:確認する)→P(Participate:参加する)→S(Share & Spread:共有・拡散する)という流れとして整理しました。

消費行動モデルとして有名なAIDMAの消費行動モデルは、Attention(注意)→Interest(興味、関心)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(行動)

AISASの消費行動モデルは、Attention(注意)→Interest(関心)→Search(検索)→Action(購買)→Share(情報共有)

AIDMAやAISAS、いずれもAttention(注意)の獲得から始まっていますが、SIPSでは生活者の消費がSympathize(共感)から始まるとしています。

マス広告の雄である電通が、一方的に「買え!買え!」と叫ぶ広告は徐々に効きにくくなり、これからは生活者の共感を勝ち得ることが重要であると説いたSIPSの登場は、新しい時代の幕開けを感じさせました。

では、消費者に共感されたとき、具体的にはどんな感情ゲージが動くのでしょうか。

そして、どんな言葉でそのコンテンツを口コミするのでしょうか。

これまで「共感」の文脈で口コミされたコンテンツを再度眺めてみて、私は「わかる!(そう思う!)」「すてき!」「かわいい!」の3つが具体的な共感スイッチではないかと思うになりました。

「感動」で動く感情・・・感動した。泣いた。考えさせられた。

最後の琴線スイッチは「感動」です。

感動スイッチは、うまく押すことができると強力な口コミパワーを発揮します。

口コミが発生する5つの琴線スイッチを紹介しましたが、いかがだったでしょうか。

口コミを発生させる力は、「感情」と「ギャップ」の掛け算で決まります。

「ギャップ」とは、冒頭で述べたように、事前期待(想定)と事後評価のギャップです。

どちらか一方がゼロになると、総和はゼロになります。

そのため、必ず両方を意識して企画を練ることが重要です。

ただし、「ギャップの大きさ」は、企業や商品のブランドステートメント(ブランドの使命や価値観を宣言したもの)に従って考えるべきです。

例えば安心・安全、信頼を大切にする食品メーカーが、食品を粗末に扱ったり、下品な笑いを誘ったりするコンテンツを作ってはいけません。

仮に口コミで爆発的に話題になったとしても、最も大切なブランド価値を落としてしまいます。

口コミは、マーケティングゴールを達成するための手段ですので、口コミが広がること自体を目的にしないことです。

口コミマーケティングは、誰もが不快に思わない最大公約数的なメッセージから抜け出し、消費者の琴線に触れ、感情を揺さぶるリスクへのチャレンジです。

数億・数十億のコンテンツを相手に、アテンション(あるいは共感)獲得競争で勝利する必要があります。

お金さえ払えば露出量が保証されているテレビCMや雑誌広告のような感覚で、ウェブ上の壮絶なアテンション争奪戦に参戦することだけはやめた方がいいでしょう。

口コミのカギとなる感情の機微を知ることは、人間をより深く理解することと同じです。

人はどんな物語やメッセージに驚いたり、興味を持ったり、共感したり、泣いたり笑ったりするのか。

そのメカニズムを知り、効果的に活用できるようになれば様々な領域に応用できるでしょう。


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