黒田日銀総裁
日銀の黒田東彦総裁はデフレ脱却が進んで「日本経済は構造改革できる局面になってきた」と主張するとともに、足元の人手不足や設備投資の不足を懸念し、官民で成長力の底上げを急ぐべきだとの考えを強調しました。

2013年4月に導入した大規模な金融緩和は、着実に効果をみせていると分析する一方で追加緩和が必要になれば「政策余地はいろいろある」と述べ、柔軟に対応する考えも示しました。

黒田総裁は消費者物価指数(生鮮食品を除く)の前年比上昇率が1%台前半まで高まってきたことから、昨年4月からの量的・質的金融緩和は「所期の効果を発揮している」と評価しました。

2015年度中をメドに、2%の物価上昇率を達成できるという日銀シナリオの実現に自信をみせました。

消費税率の8%への引き上げが景気に及ぼす影響については「想定を上回る(駆け込み需要の)反動減は出ていない」と説明しました。

「夏ごろからは反動減の影響を脱する」と述べ、7~9月に再びプラス成長に戻って再加速すると指摘しました。

政府は年末にも消費税率を10%へさらに上げるか判断します。

黒田総裁は「日銀は10%へ上げることを前提に経済見通しを示している。重要なのは持続可能な財政構造の確立だ」と強調しました。

金融政策は「逐次投入はしない」としつつも、日銀のシナリオが下振れして物価目標の達成が遅れる場合には「躊躇なく追加緩和であろうと何であろうと調整する用意がある」と述べました。

具体的な追加手段の言及は避けましたが「政策の余地が限られるということはない。いろいろ可能性はある」と語りました。

黒田総裁が強く言及したのは、人手や設備投資の不足が成長の壁になりかねないとの懸念です。

「どうやって供給力を高めるか、政府、日銀、民間で考えて努力する必要がある」と指摘しました。

あえて供給力不足を指摘したのは、中長期的な経済成長の下押し圧力になりかねないためです。

人手不足は賃上げを通じて一時的に物価を押し上げますが、流通業が閉店時間を早めたり、製造業が受注をさばききれなかったりするケースもあります。

商品を思うように生産したり販売したりできない状態が長引くと企業収益も伸び悩み、黒田総裁が目指す経済の好循環が途切れかねないためです。

そのためデフレ脱却を好機に構造改革を加速させるべきだと指摘し、取り組む課題として

(1)民間の前向きな設備投資

(2)女性や高齢者の就業による人手不足解消

(3)規制改革による生産性向

をあげました。

政府が6月にまとめる経済成長戦略については「スピード感をもって実行することが一番重要」と述べました。