アイデアは、どこから生み出すのか

専門外の者から見れば、どんな斬新なアイデアに思えても全く新しいアイデアなどというものはありません。

新たなアイデアを生み出すために何より大事なのは、既知の物事の中に関係性やパターンを見出す能力です。

この能力は誰にでも備わっています。

問題は その能力を意識的に利用できるかどうかです。

独創的なアイデアを生み出す方法として、5段階から成るシステマティックなプロセスを紹介します。




ステージ1:問題を定義する

新たなアイデアを生み出すためにはまず、自分が解決したいのはどういう問題なのかを定義する必要があります。

問題の定義は、アイデアを生み出すときだけでなく、生み出したアイデアをプレゼンして聴衆の関心を惹(ひ)こうとするときも必須です。

問題は、正確に定義すればするほど良いです。

それには若干のテクニックが要ります。

問題を狭く定義しすぎると、もしかするとき極めて貴重なものかもしれない独創的なアイデアや選択肢を、無意識のうちに排除してしまう恐れがあります。

反対に問題を広く定義しすぎると、無関係なデータの洪水に流され、目の前の問題のあまりの複雑さに圧倒されてしまうでしょう。

そうなると、良いアイデアと悪いアイデアの見分けがつかなくなります。

狭すぎもせず、広すぎもせず、ちょうど良く定義しましょう。

ステージ2:徹底的にリサーチする

次は、定義した問題を徹底的にリサーチする段階です。

問題を可能な限り正確に定義した上で、それに関係したモデルやデータやオプションをリサーチするのが良いです。

リサーチ作業をしているとき、人の頭脳は無意識のうちに一般的、具体的なデータを絶えずピックアップしたり、保存したり、並べ替えたりしています。

しかし新たなアイデアを生み出そうとする段階では、あらかじめ定義した問題を巡って集中的に、目的意識を持ってリサーチするのが効果的です。

材料集めは、おそろしく面倒なので、みんないつも その面倒を避けようとします。

だからこそ、そこで努力するかしないかで差がつくのです。

リサーチしてみると、どうすれば問題を解決できるかについて、いろいろな考えが浮かんできます。

精神的消化(ブレーンストーミング)段階です。

一人での作業でも集団での作業でも、リサーチするうちに いい加減なアイデアや当たり外れの多い思いつきが次々と湧いてきます。

ここで大事なのは、たとえ途中で嫌気がさして投げ出したくなっても根気よく続けることです。

ステージ3:火が通るのを待つ

ここが肝心です。

この作業は自分の「無意識」に任せなくてはなりません。

「無意識」は、自分の経験データを篩(ふる)いにかけてパターンやコンビネーションや、自分で自分に課した問題の解決策候補を見つけ出す名人です。

こういう風に問題に「火が通る」のを気長に待つのはしんどいこともあります。

デッドラインまでにアイデアを捻り出さなくてはならないときは尚更です。

経験豊かな起業家は、このプロセスを熟知しているので、自らの「無意識」を信じて身を任せます。

ステージ4:浮かんできたアイデアを捕まえる

ステージ4では油断は禁物です。

良いアイデアはシャワーを浴びているとき、目を覚ましたとき、庭仕事中、散歩中など、思わぬときに浮かんでくるからです。

アイデアは「どこからともなく」湧いてくるように思えますが、アイデアは弛(たゆ)まぬ関連づけ作業の成果なのです。

ステージ4でやるべきことは、新しいアイデアが浮かんできたら捕まえるだけです。

忘れないよう必ず書き留めること。

ステージ5:形にして練り上げる

一番大事なのはステージ5の、形にして練り上げる段階です。

新しいアイデアという材料を頭の中で転がし、手直しし、人に話してフィードバックを貰います。

最高のアイデア、つまり問題解決に最適のアイデアに出合うと人は熱くなります。

まずは自分が熱くなり、そして自分の「口説き」方が上手ければ周りの人も熱くなります。

アイデアを練り上げていくにつれて、こうすればもっと効率よく、無駄なく、長持ちするソリューションになるんじゃないかというアイデアが次々に湧いてきます。

思いついたアイデアが本当に実行可能かどうかを知りたければ、良い方法があります。

頭が切れて、自分の味方で、建設的なコメントをしてくれそうな友人グループを確保しておくことです。

しかし、何も天才でなくても、また天才の知り合いがいなくても、集団のアイデア形成力を利用することはできます。

「二人寄れば一人より良い考えが浮かぶ」と思えるだけの謙虚さがありさえすれば良いです。

アイデアが形を成してきたら、その将来を想像してみましょう。

ただし、それには特別なコツがあります。

認知科学の研究によれば、新たなアイデアに問題点を探ろうとするとき、最も効果が高いのが「未来へ旅する」テクニックだといいます。

やり方はこうです。

人一倍博識で批判的な相手にアイデアを売り込むことに成功した翌日、自分が自宅かオフィスにいるところを想像します。

そして自分の前日のプレゼンを振り返って、どんな風にアイデアを紹介したかを思い浮かべるのです。

次に、「聴衆からどんな質問が出たんだっけ」と考えます。

厳しい質問、答えにくい質問はあったでしょうか。

聴衆がどういうことを聞きたがったかを想像してみて、頭に浮かんできた問題点や懸念をひとつ残らず書き留めましょう。

アイデアをまずは実在の他人による批判に晒(さら)し、次いで想像上の批判に晒した上で、また練り上げプロセスに戻ります。

目標は何もかもが揃(そろ)った、良く良く考え抜いた、今すぐにでも決定権者に売り込めるアイデアを作り上げることです。

練り上げ作業に終わりはありません。

たとえ既に実施済みのプログラムでも、考えればいくらでも改善の余地はあります。

しかし、そもそも最初の段階でアイデア形成をきちんとやらなければ、第1の関門を通過することすら望めないでしょう。


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