人間関係に基づく説得について

ラポールと人間関係がコミュニケーションの円滑化(またはコミュニケーション不全)を促進することについては、広く研究が行われています。

初期の研究に、保険の外交員を対象としたものがあります。

成績トップの保険外交員と平均的外交員を比べたところ、商品知識も、勧誘電話をかける回数も、尋ねる質問の数や種類も特に違わないことが分かりました。

違いはただひとつ、成績トップの外交員は、顧客との間に共通の経験や所属団体など、何らかの共通点を見つけ出し、アッと言う間に、かつ自然に顧客と気安い関係になるということでした。




組織社会も同じです。

調査によれば同僚同士の付き合いが長ければ長いほど、その人間関係は良くも悪くも固定化する傾向があるといいます。

職場で出会った当初は、ラポールや信頼関係の基盤はごく浅く、主に年齢や性別といった人口学的な共通性がベースになっています。

付き合いが長くなるにつれ、実際に相手に接した経験に基づいて、お互いを信頼・信用できるかどうかについて意見を形成していきます。

仕舞いに長年の付き合いになると、相手を信頼できるかどうかは、様々な問題について互いに意見が一致するかどうかによって決まります。

そこまでいくと、人口学的共通性があるかどうかは大した問題ではなくなり、相手の実際の行動を観察することもそんなになくなります。

相手は既に「テストに合格」済みだからです。

職場の人間関係には「相互利益」という特徴もあります。

ですから人間関係モードは、利益モードとも関係してきます。

人間関係を背景として、各種の目に見えない取引が行われることがあります。

家庭でも職場でも、人間関係を背景とする取引の交換通貨は無数にあります。

過去に相手に図ってやった便宜、将来的に便宜を図ってやるという約束、情報、噂、何か価値のあるものの入手・利用、社の規則や方針を一時的に免除してやる、おだてる、昇進のチャンス、愚痴を聞いてやる、秘密などなど。

要するにアイデアを売り込む際、類似性、嗜好、ラポール、相互利益などを利用して、またはコネや友人などの既存のネットワークに頼って道を開こうとすることを「人間関係」に基づく説得といいます。


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