比喩には、聞き手が既に知っていることから、あなたの伝えたいことへと、聞き手をスムーズに橋渡しさせる力があります。

しかし、これから紹介するプレゼン印象づけツールは比喩とは反対に、むしろ聞き手にショックを与えることを目指します。

つまり未知のこと、馴染みのないことについて否応なしに聞き手に考えさせようとするのです。

このやり方には危険もあります。

聞き手があなたと共に「枠の外」へ踏み出す用意がなければ効果がないのです。

しかし効果がある場合もあるので、ここに紹介しておきます。

分かりきっていることを質問してみる

この手法は、古くからある問題について相手に新しい視点から考えさせる効果があります。

「大学の目的は教育だというが、本当にそうか?」。

その年頃はちょうど、危ない行動に手を出してみて、やがては卒業する時期です。

もしかしたら その時期に合わせて、扱いにくい10代を親が自宅から遠ざけておく巧妙な手段なのではないか?

大学の規律があんなに緩いのは、あるいはそのせいかもしれません。

「企業の最大の目的は株主に奉仕することか、それともサプライヤーの商売を維持することか?」。

前者の見解は、利益追求という一般的な企業観と一致します。

しかし後者についてはどうでしょうか。

地元の、値段の高いサプライヤーから仕入れる案に反対したい場合は、この問いを投げかけることで、「地産地消」プログラムの意義はどこにあるのかを相手に考えさせると良いかも知れません。

逆転する

物事を逆転してみて、逆さまの世界がどう見えるかを聞き手に想像させます。

価格を「上げ」て売り上げを上げるためにはどうすれば良いでしょうか。

聞き手が売り手側なら「買い手」の立場に立って考えてみるよう求めます。

あなたがチームパフォーマンスの改善法を提唱したいなら、チームパフォーマンスを「悪化させる」ためにはどうすべきか考えてみてほしいと言ってみます。

仮定する

突拍子もない仮定を持ち出し、もしこの仮定が現実になったら世界はどうなるか想像してみてください、と言います。

一番良いのは、現にあるトレンドをとことんまで推し進めた場合どうなるかと仮定してみることです。

そうすることで、現状に当てはまりそうなアイデアを探ります。

ワークライフ・バランスに関連したアイデアを売り込む場合は、通常の平日・休日のくくりを取っ払って、仕事時間と余暇時間の割り振りを最適化してみてくださいと言ってみましょう。

そうしたら1週間のスケジュールはどんな風になるでしょうか。

ガソリンが1ガロンあたり20ドルになったと仮定します。

そうなったらあなたのビジネスはどうなるでしょう。

義務教育が26歳まで延長されたと仮定します。

あなたの会社がそれを利用するとしたら、どんな事業が考えられるでしょうか。

逆定義し直す

これは企業戦略家や「ビジョナリー」のお気に入りです。

基本的な目的やミッションを捉え直してみてくださいと聞き手に求めることでアイデアを売り込むという方法です。

ディズニーは、テーマパークの従業員を労働者ではなく「キャストメンバー」と定義し直すことで、従業員との関係を革命的に変えました。

ゼロックスは、金融サービスをはじめ各種の事業に手を広げてすっかり様変わりしましたが、その後、自社を「ドキュメンタリーカンパニー」と定義し直すことで再び原点に立ち返りました。

電力各社は自社を「エネルギー」企業と定義し直すことで、これまでになく幅広いサービスや活動に進出するようになりました。