公的年金の長期的な財政について厚労省が8つのケースを予測

厚生労働省
厚生労働省は6月3日、公的年金の長期的な財政について8つのケースの見通しをまとめました。

ほぼゼロ成長が続き、女性や高齢者の就労が増えない3つのケースでは、約30年後までに会社員世帯の年金水準は政府が目標とする現役会社員の収入の50%を下回ります。




50%を維持する5ケースも年金の運用利回りが4%台など強気のシナリオが前提です。

将来の年金が減るという若年世代の不安を和らげるには、女性の就労促進に加え、現在の高齢者への給付抑制など抜本対策も急ぐ必要があります。

厚労省は経済成長率や働く人の数が異なる8ケースで、将来の給付を試算しました。

少子高齢化に合わせ給付額を抑える「マクロ経済スライド」は2015年度から発動する前提です。

ただ、現行の仕組みは物価が1%ほど上がらないと十分に効果が出ません。

年金給付額予測

2014年度に会社員の夫と専業主婦の妻が受け取る年金は合計で月額約21.8万円。

現役会社員世帯の平均収入に対する年金の割合(所得代替率)は62.7%です。

政府は2004年の年金改革で所得代替率は将来も5割以上を維持すると約束しました。

しかし今回の試算では働く人が増えず実質経済成長率がほぼ横ばいの3つのケースで2041年度までに5割を下回りました。

最悪シナリオでは2036年度に50%、2055年度には39%まで下がり、積立金は枯渇します。

一方、所得代替率が50%を確保する5つのケースは働きに出る女性や高齢者が急増するという楽観的な前提です。

現在の日本は働きに出る女性の割合が子育て期の30代前半に下がりますが、このへこみが消え、2030年には86%と現在より16ポイントも上がると想定しました。

60代後半の男性も3人に2人が働きに出ます。

働きに出る割合が現在と同じ場合と比べ、全体で約600万人増える見通しです。

楽観的な5つのケースは経済シナリオも今後10年間は実質2%成長という政府の見通しに基づく強気の想定です。

120兆円を超える年金積立金が4%を上回る高い利回りで運用し続けられます。

最も楽観的なケースの所得代替率は50.9%で下げ止まります。

働く人が増え、高い経済成長を続け、運用で高い収益をあげ続ける――これらの前提が1つでも崩れれば所得代替率は50%を割り込みます。

今後20年間は引退した団塊世代への年金給付で年金支出が急増します。

8ケースのうち6ケースは物価が毎年1%超上昇し、マクロ経済スライドで給付の伸びを抑制できると想定しました。

ですが、実際の物価上昇率は1%を下回ることもあり、現在の名目の年金額を減らさない条件付き発動では給付を抑える効果が薄れます。

物価上昇率に関係なく必ずスライドを適用し支給を抑える仕組みを早急に導入しなければ、若年世代の将来の年金水準の低下を防ぐのは難しくなります。

支給開始年齢の一律の引き上げなど抜本対策を検討することも急務です。


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