高齢者でも働き続けることが年金制度を助け、自らの幸せにもつながる

高齢者雇用
I(アイ)ターン、海外移住、資産運用、節約。

そのどれもが老後に不安を持つ層の万能薬にはなり得ません。

Iターンは生活費が下がるかもしれませんが、地域に溶け込む努力が欠かせません。

海外移住は一定の資金力がなければリスクが残ります。

資産運用は知識と経験、そして運が求められます。

限度を超える節約も難しいです。

健康であるならば、最も確実でリスクが小さいのは、やはり働き続けることです。




年金のもう一段の減額は十分に起こり得るシナリオです。

公的年金だけでの生活設計では、ゆとりがなくなるかもしれませんので、働くことで年金の不足分を着実に補うのが現実的です。

労働政策研究・研修機構は、2010年に6,632万人だった労働力人口が、2030年には5,678万~6,255万人になると推計しています。

最も多い6,255万人という数字は、2%程度の経済成長に加え、女性や高齢者の社会参画が進んだ場合を想定しています。

このシナリオでさえ400万人近い労働力が失われていきます。

高齢者が仕事を続けると若者の仕事が奪われるといった見方もありますが、そのような構図は、日本の労働力そのものが減少していく中で解消されていく可能性が高いです。

そもそも、働かない老後がここまで「普及」したのは最近の話です。

1956年時点の平均寿命は男性が64歳、女性が68歳でした。

かつては55歳から厚生年金が支給されていましたが、それでも受給期間は10年に満たないケースが多くありました。

老後はごく短い期間しかなく、人々は人生のほとんどの期間を働いて過ごすのが当然でした。

それが今では、2人の若者に1人の高齢者がおぶさる形に近づいています。

この形がもう維持できないのは間違いありません。

移民といった政策を取らない限り人口の急増が期待できない以上、誰かが「支える」側に回るしかないのではないでしょうか。

社会保険完備の仕事に就いていれば、その人は「社会に支えられる」のではなく、「社会を支える」側であり続けます。

仕事を通じて社会に貢献し続けることができれば、高齢者も大きな充実感を覚えるはずです。

実際に、働くことが幸福度引き上げるとの研究も少なくありません。

健康なうちは働き続けることが、家計にゆとりをもたらすのはもちろん、日本の労働力不足を解消し、年金制度を助け、さらには自らの幸せにもつながっていきます。

日本の生産年齢人口は今年3月末時点で8,000万人を割り込みました。

この生産年齢人口の定義は「15歳から64歳まで」。

65歳以上は「被扶養人口」、つまり養われている人たち、というわけです。

しかし今こそ、その定義を見直すべき時期に差し掛かっているのではないでしょうか。

年金の支給開始年齢を60代後半にまで遅らせるとの議論が有力になっているのですからなおさらです。

65歳になったら現役を退いて、いわゆる「老後」生活に入ります。

そんなこれまでの常識を覆し、元気であれば働き続けることが当たり前という社会に変えていかなければなりません。

日本は世界の先頭を走る長寿の国で、高齢でも健康な人が多いです。

高齢化先進国の日本だからこそ、世界に先んじて、高齢者が元気に働き、社会に貢献し続ける国を目指すべきです。

そのためには現在、政府の産業競争力会議などで議論されている雇用改革を一層進めることが不可欠でしょう。

新卒で会社に入り、定年まで勤め上げて余生を送るという高度成長期のモデルだけでなく、様々なキャリアを経験することで長く働き続けられるような仕組みを構築することが必要です。

企業側も単に定年を延長するのではなく、フルタイムでの勤務を求めると同時に賃金水準を維持するといった工夫が求められます。

高齢者を仕方なく雇うのではなく、きちんと戦力化してこそ競争力を保つことができます。

年金の未来は働くことを見つめ直すところから始まります。


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