価格設定で商品やサービスの価値を決める

サンクコスト

現実社会は経済学で考えられているほど合理的ではありません。

ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーが提唱した有名な「プロスペクト理論」によりますと、「20ドルを失う苦痛は、20ドルを得る喜びより大きい」。

経済学が前提としている完全な合理的社会では、20ドルの損失と利益は同等でなければなりません。

ですが、思考実験を行なえば、損失が利益を遥かに上回ることは簡単に確認できます。

「損失は利益より大きい」ということなのです。




また、「サンクコスト(埋没費用)」という経済学の概念があります。

すでに支払ってしまい、回収できない費用は、意思決定に影響しないとされています。

たとえば、払い戻しできない150ドルのコンサートチケットを購入したとしましょう。

会場までは自宅から1時間かかります。

ですが当日の天候は豪雨になり、コンサートに行くのをやめようかと考えます。

この場合、経済学では、150ドルのチケット費用は既に支払っており、意思決定に影響しないと考えます。

ところが実際は、「少々の雨ではチケット費用を無駄にできない。何としてもコンサートに行こう!」と思います。

マーケティングでは、経済学の知見は尊重するものの、実際の社会における現実的な行動を重視します。

経済学の完全な合理的社会は、想定にすぎません。

非合理な代表的行動が、「高価格であれば高品質である」という判断です。

認めたくないかもしれませんが、価格が高くなるほど高品質だと信じる傾向があります。

ところが価格に関係なく、同じ原料を使って同じ製法で作られていたり、全く同じ工場で作られていたりします。

高級百貨店で販売されている商品の中には、量販店の商品とほとんど変わらないものもあります。

ですが消費者は、百貨店の商品が高額なのは、品質に何らかの違いがあるに違いないと思い込んでしまいます。

価格表示にごまかされる場合もあり、どういうわけか19.99ドルという価格は、20ドルよりも大幅に安く感じます。

また、10ドルのTシャツを3枚購入するとき、「2枚購入すれば3枚目は半額」と表示されていると、「30ドルを25ドルに値引き」あるいは「総額から5ドル値引き」という表示よりも大幅に安く感じてしまいます。

もちろん店側は、その心理を知ったうえで価格を決め、集客や売り上げアップに繋げようとしています。

このようにマーケティングには、「商品やサービスの価値を決める」という重要な役割があり、消費者がごまかされやすい価格のトリックを取り入れます。

マーケティングを学ぶ必要性を感じていない人は、間違いなく価格のトリックにごまかされ、本人は自覚すらしていないはずです。


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