混合診療を拡大。2016年度にも「患者申し出療養制度」を導入予定

混合診療
安倍晋三首相は6月10日、慶応大学病院を視察し、公的保険が使える診療と保険外の診療を併用する「混合診療」を拡大すると記者団に表明しました。




希望する患者は抗がん剤など国内未承認の新薬や医療機器を速やかに幅広い医療機関で利用できる仕組みをつくります。

2015年の通常国会に関連法案を提出し、2016年度にも導入する予定です。

6月内にまとめる成長戦略に盛り込みます。

安倍首相は視察に先立つ6月10日朝、田村憲久厚生労働相と稲田朋美行政改革相に「新たに患者本位の仕組みを作る」ことを指示しました。

その際、(1)困難な病気と闘う患者の申し出に基づいた療養制度を創設

(2)安全性・有効性を確認しつつ審査期間を抜本的に短縮

(3)より身近な医療機関でも先進医療を受けられるよう柔軟に対応

の3点を要点として挙げました。

新設する「患者申し出療養制度(仮称)」では患者が試したい保険外の薬や医療機器があれば、慶大病院など臨床研究で実績のある中核病院にまず相談し、納得すれば利用を申し出ます。

中核病院は患者の代わりに申請し、国の専門家会議が原則6週間で安全に治療できるかどうかを審査します。

現行の仕組みでは3~6カ月かかるのを短くし、早く治療を受けられるようにします。

 

混合診療、どう変わる?
患者申し出療養制度 従来の混合診療
▼決めるのは…
患者 医療機関
【国内初の治療】 【2例目以降】
▼審査するのは…
国の専門家会議 中核病院 国の先進医療会議
▼承認まで…
6週間 2週間 3~6カ月
▼治療内容は…
海外で承認した新薬や医療機器を使う治療 比較的リスクが低い手術や検査 がんを切らずに治す重粒子線治療など約100種類
副作用の強い抗がん剤 副作用の弱い抗がん剤
▼受診できるのは…
15カ所の中核病院と連携病院(合計で100カ所超) 地域の病院や診療所(1000カ所超) 国が認める医療機関(1つの治療で平均10カ所程度)

国内初の治療なら、中核病院とこれらと連携する病院が担当します。

2例目以降なら中核病院がより短い2週間で審査し、地域のクリニックも含む医療機関に対象を広げます。

治療できる医療機関数は副作用が比較的少ない投薬などリスクが低い治療であれば1000超に広がる見込みです。

日本では公的保険がきく診療と、保険がきかず患者が全額負担する自由診療を組み合わせることは原則できません。

国が例外として医療技術や施設を絞って混合診療を認めているだけで、患者が保険外の先端医療を受けにくい原因となっていました。

公的保険が使える診察や検査、入院料などに70万円、保険適用外の抗がん剤に30万円かかり、両者を併用すると、原則通りなら患者は100万円全額を支払うことになります。

一方、国が認める混合診療なら保険診療分を3割負担として患者の支払いは51万円と半額近くまで安くなります。

今も混合診療ができる「保険外併用療養費制度」は、医療機関が実用化したい新薬などの臨床研究が目的です。

患者が希望する治療が医療機関のメニューになければ受けられませんでした。

そこで政府の規制改革会議が3月、患者と医師の合意で混合診療を受けられる仕組みを提言しました。

混合診療の拡大に慎重だった厚労省と調整を進め、合意に達しました。

混合診療拡大は「国民皆保険を崩しかねない」として日本医師会などが抵抗しています。

安倍首相は6月10日「安全性・有効性が確認されれば国民皆保険のもと保険適用を行う」とも指示し、医師会などの懸念を払拭する考えです。

厚労省は、現行制度の対象を広げることなどとも併せ、混合診療の拡大に取り組みます。

ですが結果的に保険診療の利用も増え、医療費が膨らんで税金や保険料による国民負担を増やしかねないとの指摘もあがっています。


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