国債の利回りが、その国の未来を予言している

日本国債
ローマ時代に金貨、銀貨の質は、国力の衰退とともに低下していきました。

浪費で有名なネロ(37年~68年)が皇帝であった時代などは、金や銀の含有量を減らし、通貨の発行を増やします。

そうなると通貨に対する信任が低下し、インフレーションが起こります。




日本の江戸時代でも幕府は財政難に陥ると、貨幣の質を落としました。

幕府の衰退にともない、小判は小さくなっていきました。

これは現在の日本の国債累積とまったく同じです。

赤字国債という一種の「紙のお金」を大量に発行することで、一時的に政府は生き延びても、国に対する信任は低下していくのです。

それでは過去の各国の国債が、どのような場面で暴落していったかを見てみることにしましょう。

18世紀のイギリスの経済学者アダム・スミス(1723年~1790年)は、「見えざる手」という市場の調整機能を示す印象的な言葉を残しました。

市場で利益を追求する人々の行動の相互連関が、最も効率的で無駄のない資源配分を実現するという考えです。

もちろん市場だけで、世界のあらゆる物事を正しく決定できるわけではありません。

しかし20世紀末の社会主義国家群の崩壊を見れば、市場の効率性を否定する経済システムが、いずれ成り立たなくなることは明らかです。

市場を中心に置いて、経済システムをつくらなければならないのです。

市場で示された情報が、未来の動きについて、驚くべき洞察や叡智を示すことがあります。

その1つが、長期金利つまり長期国債の利回りです。

その利回りの動きは、その国の運命を事前に示してきました。

18世紀後半から19世紀はじめにかけてのナポレオン戦争で最終的にイギリスはフランスに勝ちました。

それ以前からイギリス国債の価格はフランス国債の価格より常に高く、利回りは常に低かったのです。

つまり、市場ではイギリス国債への信任が高く、市場はイギリスの勝利を見込んでいたことになります。

同じように、アメリカ南北戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦において、開戦前も戦争中も最終的な戦勝国の長期金利は敗戦国よりも常に低い傾向にありました。

投資家は、敗戦の可能性が高いと判断した国の国債を買いません。

国債がデフォルトする可能性があるためです。

すると、そうした国々は、市場からお金を調達することが難しくなり、戦争ができなくなります。

一方で戦勝の可能性が高いと市場が判断した国々は、安い金利でお金を調達でき、その結果として戦争がしやすくなるという好循環が生まれます。


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