国債の暴落リスクに最も備えているのは生命保険会社

財務省
財務省は累増する国債発行を踏まえて、7月をめどに「国債政策情報室」を新設し、アジア各国や海外の中央銀行、年金基金などに日本国債の長期的な保有を働きかけていく方針です。




少子高齢化が急速に進展する中、現在のように日本国債の9割以上が国内で保有される安定的な消化基盤は、持続可能ではないだろうとの危機意識が背景にあります。

財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が4月28日に、国と地方を合わせた債務残高が、2060年度には現在の6倍を超える8157兆円に達するという驚きの試算を発表したのもその表れにほかなりません。

国債の消化難への懸念が高まっています。

一方、足元では日銀の国債買い入れ(毎月6兆~7兆円買い入れ)により、指標となる10年物国債の利回りは0.6%程度の史上最も低い水準に抑えられています。

しかし、日銀はインフレ率を2%まで引き上げることを目標に掲げていて、いずれ国債金利は上昇することは避けられません。

このため、金融機関は国債の保有残高を減らす方向にあります。

中でも国債の価格急落リスクに最も神経をとがらせているのは生命保険会社です。

生保が保有する国債残高は150兆円と、市場全体の15%を占めます。

国債価格急落は生保の息の根を止めかねないリスクです。

このため、生保各社は価格が急落しても評価損を計上しなくてもすむ「責任準備金対応債券」に国債を移し始めました。

また、先物取引の一種「スワップション」を利用して金利上昇リスクのヘッジに動いています。

そして、一部の大手生保では、日本国債のデフォルト(債務不履行)を“予知”しようと、過去の国債のデフォルト事例を参考にした評価システムを開発しました。

経済・財政に関する複数の指標を分析し、「安全」「警戒」「危機」に分けて評価しますが、現在の日本の政府債務残高は「危機」に分類されています。

財政再建に本腰を入れなければ日本国債がデフォルトすることも絵空事ではなくなります。

財政再建については、2015年までに基礎的財政収支の赤字を10年時に比べ半減し、2010年までに解消、その後は黒字を維持することで、1000兆円を超す累積赤字を削減させていく方針が示されています。

その一環として、今年4月から消費税率が8%に引き上げられ、2015年10月には10%へ引き上げることが予定されています。

しかし、“上げ潮”と言っていい現政権の財政規律を順守する意思がどこまで強固かといえば疑問に思えます。

当面は財政規律を犠牲にしても経済成長を優先すべきだというスタンスが感じ取れます。

予算編成でも、当初予算は財政再建目標を前提に組むのが通常ですが、補正予算によって財政規律が守られないまま今日に至っているのが実態です。

永田町周辺では「来年10月から消費税率を引き上げるため、今秋にも景気対策として大型の補正予算が組まれるのが必至」との見方が大勢を占めています。

財政規律という言葉は当面死語になっています。

いずれにしても国債の累増を前に、これまでのような安定消化は望み薄です。

痛みを伴う改革は避けられないでしょう。


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