国債とは、議会が決定し、国民一人ひとりが引き受ける国の借金の証文

日本国債
国債とは、「国の借金の証文」のことです。

だから、いちばん重視され信用される債券になっています。

国債は、国民国家と民主主義の発展とともに成立した証券です。




国民国家とは、国民が国の活動を担う中心となる国のことを言います。

民主主義とは、国民が国の意思決定に参画する制度のことを言います。

近代以前の国の大半は、「国王の所有物」という存在でした。

国民国家はそれとは全く異なります。

ドイツの文豪ヨハン・ゲーテ(1749~1832年)は政治家でもあり、1789年から始めるフランス革命と同時代に生きた人でした。

ゲーテは革命後のフランス軍とドイツ領邦軍との戦闘を目撃し、仰天した経緯を日記に書き記しています。

フランス軍の兵士は、「国民バンザイ!」「国家バンザイ!」と叫んで戦闘し、死んでいきました。

国民とか国家とかは、国王とは違って実体のない抽象的なものです。

ゲーテはその光景を見て「人間が歴史の中で初めて、抽象的な概念のために死んでいく」という一節を残しました。

その後に台頭したナポレオン・ボナパルト(1769~1821年)は皇帝になりますが「フランス国民の投票で選ばれた皇帝」という自分の立場を最後まで強調します。

国民による軍隊であったことが、フランス軍の強さと士気の秘密でした。

それまでの兵士は、金のために戦う傭兵、もしくは君主の間との個人的契約で結ばれたものでした。

このエピソードは「普通の一般市民が、国と自分を同一視するようになった」ということを示しています。

その必然として、国民国家が成立した19世紀のヨーロッパ各国で民主主義が発展します。

国民が「自分の国」の運営に参加しようとしたためです。

そこで国の借金の姿も変わり、国債の信用度が高まっていきました。

「国の借金=自分たち国民の借金」と考えるようになったのです。

それまでの国の借金は「国王個人の借金」という要素が強かったのです。

そして政変や王位継承などで、国王が代わるたびに、何度もデフォルトが起こりました。

たとえばフランス革命前のブルボン王朝は対外戦争を繰り返しましたが、国王たちは、踏み倒しを狙って金を借り、そしてその踏み倒しごとに国の経済は混乱しました。

一方のイギリスでは、国王が存在したものの、中世に身分別議会が誕生し、やがて選挙による議会へと発展していきました。

議会は国民の代表が参加する永続的な機関です。

その議会が、未来の税収を担保として金を借りることを決定し、債券の形で証文を発行するようになりました。

「王の借金」と比べると、「議会が保証した債務証券」である国債の信用が高くなるのも当然です。

これが現在の国債へと発展していきました。

現代国家でも、「議会が決定し、国民一人ひとりが引き受ける国の借金の証文」という国債の本質は変わっていません。

そのため、日本を除く先進各国の政府は、通常は国債の発行に慎重であり、その削減にも真剣です。

たいていの国では財政破綻は戦争によって起こるので、国債を発行する民主主義国家は、戦争や財政政策に対して慎重になります。


カテゴリー: 財政問題 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。