金利急低下後の急反転と異次元緩和の出口戦略が国債暴落の引き金

日本国債
日本国債の価格暴落のトリガー(引き金)。

この定番とされてきたトリガーの1つは国債の格下げです。




現在の国際的な銀行規制では、自己資本比率を算出する際、海外投資家が保有する日本国債のリスクはゼロとされることが多いです。

しかし、大半の格付け機関が日本国債をシングルA格に引き下げれば、リスク資産(リスクウエート20%)として扱わなければならなくなり、売却せざるを得なくなります。

ベストセラー小説『日本国債』で話題になった国債入札の未達もまた、古典的なトリガーといえるでしょう。

入札予定額に市場参加者の応募額が届かず、売れ残りが出ることをいいますが、供給が需要を上回れば価格は下落するという経済原理は言わずもがな、「売れ残った」ことそのものが国債の信用力を押し下げ、売りが売りを呼びかねません。

また、海外ヘッジファンドの日本売りも忘れるわけにはいきません。

海外ヘッジファンドは幾度となく日本国債の売り崩しを図ってきました。

ただ、これまではいずれも失敗しています。

さらに、究極のトリガーとして、自然災害も挙げられます。

首都直下型地震や富士山の噴火などにより日本経済が麻痺すれば、国の信用力を象徴する国債のリスク上昇は避けられません。

ここまで、従来指摘されてきたトリガーを紹介してきましたが、こうした定説に加え、これまで決して表に出なかった新たなトリガーの存在が明らかになりました。

国債の他に資金の振り向け先がないので、「この3ヶ月ジリジリ下がってきた金利の低下に歯止めがかからなくなり、一旦、得体の知れないところまで下がる」というのがベテラントレーダーたちの見解です。

株価は14,000円前後を行ったり来たりし、なかなかそれ以上に上向きません。

また、企業の景況感はよくなっているとはいえ、銀行の企業融資が目立って増えているわけではありませんので、国債を離れて一度、リスク資産などへと流れたお金が“国債回帰”に動くのは自然な流れです。

そして、国債市場というムラの住人たちが足元でトリガーになり得ると不安視することこそ、まさにこの金利のさらなる低下となります。

金利が下がり続け、たとえば、日本銀行の異次元緩和直後に出た史上最低金利0.315%に近づくなど「臨界点」に達すれば、それこそ4~5月のように一気に反転、金利が急騰(国債価格は暴落)する恐れがあるからです。

実際、あるメガバンクもこの急反転を、1年以内に起こり得る現実的なシナリオとして想定していて、まさに直近における新たな暴落トリガーだといえます。

これまでリスクに最も疎いと揶揄(やゆ)される投資家だった年金基金すら、最近の異常ともいえる債券相場の動きに危機感を抱き、「リスク管理に目覚めた」と、ある市場関係者は驚きを持って語っています。

たとえ足元で国債価格に変化がなくても安心はできません。

2年先に目を転じれば、メガバンクの市場担当者が「国債運用における最大の懸念材料」と口をそろえる、日銀の異次元緩和の“出口”がやってきます。

懸念するのも無理はありません。

何しろ今、日銀は新発債の実に7割もの、国債を買い入れているのです。

その池の中に突如放たれたクジラが引き揚げられたとき、はたして市場は混乱せずにいられるのでしょうか。

たとえば米国では、QE3(量的緩和第3弾)を縮小するとの観測が出ただけで米国債の金利が跳ね上がりました。

もっとも、出口戦略をめぐっては、当局が事前に銀行をはじめとする市場参加者との“話し合い”の場を設け、混乱を防ぐだろうとの見方が主流です。

銀行には潤沢過ぎるほどの預金があり、企業の借り入れ需要が高まったとしても国債への投資資金が枯渇することはなく、資金的にも協力の余地は十分にあります。

ただ、それでも事はそう上手く進まないかもしれません。

日銀の異次元緩和が出口に向かうのは「物価2%」、もしくは、それに準じる景気回復が見込まれたときだとされます。

にもかかわらず、日銀の買い入れにより金利が低く抑えられたままの儲けにくい国債を買って、預金者や投資家などに説明がつくのでしょうか。

すでに、ある大手銀行からは、そんな疑問の声が出ているのです。

国債の安定消化が危うくなれば、国債暴落は免れません。


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