貯蓄率の低下と経常収支の赤字が国債消化を危うくする

日本国債
日本の預金偏重文化が変わらない限り、銀行が預金を国債消化に振り向けてきた構図は崩れず国債暴落は起きないように見えるかもしれませんが、実はその土台は既に崩壊し始めています。




要因は大きく2つあります。

その1つが、高齢化による預金などの「貯蓄率の低下」です。

貯蓄を取り崩して生活する高齢者が増えれば、必然的に預金は減少し、銀行が国債に振り向ける原資は少なくなります。

もう1つが、2020年前後に恒常化するとされている、「経常収支の赤字」です。

経常収支

経常収支は、貿易や旅行などによる海外とのお金のやりとりの収支を表します。

黒字ならトータルで日本が収入を得ている状態、赤字なら海外から借金をしている状態といえます。

日本は今、原子力発電所の稼動停止による輸入燃料費の増大や、企業の海外進出などで貿易赤字が急速に膨らんでいます。

数年後には経常収支が赤字に転落する日が訪れそうです。

経常収支が赤字になれば、海外からお金を集めなければ経済活動ができません。

必然的に日本の巨額の借金も、海外の国から今以上に引き受けてもらわなければならないのです。

日本の財政に厳しい目を向ける海外勢が、国債を大量に保有することになれば、財政再建に向けた圧力は高まり、ひとたび対応を誤れば、国債を売り浴びせられ、暴落は避けられません。

10月1日、安倍晋三首相は、消費税率を8%に引き上げることを決断しました。

財政再建に向けた一歩といえますが、実は「焼け石に水」の状態です。

消費税は増収分を含めて、年1兆円規模で増大する社会保障費に充てられるだけで、借金返済の財源にはなりようがないからです。

社会保障費

IMFは日本の財政再建に向けて、消費税率を最低でも15%にする必要があるとみています。

「今後、日本財政の進むべき道はどこにあるのか」考えを深める上で、興味深い事実を載せているのが『日本銀行百年史』です。

1930年代前半の昭和恐慌を受け、景気刺激策として国債を大量発行し、支出を拡大させていた日本。

当時の高橋是清大蔵大臣は、自ら進めた積極財政によって招いた財政の悪化に、強い危機感を覚え始めていたといいます。

1936年、高橋蔵相は財政再建に目線を切り替え、国債発行の漸減(ぜんげん)方針を打ち出しますが、結果的に軍部との対立を招き、二・二六事件での暗殺につながってしまいます。

その後、後任の馬場鍈一大蔵大臣は国債の漸減方針を放棄して、再び財政支出の拡大路線に舵を切っていきました。


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