日本の金融機関が日本国債への投資残高を大幅に縮小

日本国債
日本の銀行は4-6月期、インフレの復活による金利上昇の可能性に備えて日本国債へのエクスポージャー(投資残高)を大幅に縮小しました。




しかし、それでも金利が実際に上昇した場合、数兆円に上る損失を被るリスクを抱えています。

 
日銀が10月23日に公表した「金融システムリポート」は、長年にわたり資金の安定した保管場所として日本国債に依存してきた国内各行が、ここにきて微妙なバランスを取るため苦心している現状を浮き彫りにしました。

 
日銀が公約通り慢性的なデフレを脱却し、2年以内に約2%というインフレ目標をどうにか達成できた場合、たとえ日銀が国債買い入れを通じて金利上昇の抑制に努めたとしても、インフレ率の上昇に伴い金利も上昇する公算が大きいです。

利回りが上昇すれば国債価格は下落するため、国内金融機関が保有する巨額の日本国債の価値が大幅に切り下げられることになります。

 
日銀が6月末時点の金融機関の債券保有高を基に試算した結果によりますと、金利が全ての年限で1%上昇した場合、大手・地方両銀行合わせた保有債券の時価損失は6兆円です。

さらに、金利が2%上昇した場合は10兆6000億円、3%上昇した場合は15兆3000億円の損失になります。

 
しかし、巨額の潜在的な損失リスクがあるにもかかわらず、日銀は半年ごとに行われるこの金融システム分析の結果を前向きに受け止めています。

 
その理由の1つは、金融機関が3月以降債券保有高を変更していなければ、金利が1%上昇した場合の時価損失は推計6兆9000億円になっていましたが、今回の試算はそれを下回っていたためです。

日銀は、これは大手金融機関が日本国債の持ち高を縮小したことを反映したものだとしています。

 
金融機関全体の4-6月期の金利リスクに対するエクスポージャーは10兆6000億円から10兆円に減少しました。

 
金融機関の債券投資残高の減少は日銀にとっても明るい材料です。

春に踏み切った金融政策の大胆なシフトが機能していることを示すものだからです。

 
日銀幹部の1人は「銀行においては、徐々に円債、国債以外のリスク資産へのシフトが起きている、と言ってよいと思う」と述べました。

 
日銀は4月、インフレ目標達成に向け、資金供給量を2年で2倍に増やすための資産買い入れ策を採用しました。

その狙いは、日本国債を大量に購入することで、利回りを引き下げて投資妙味を薄れさせ、資金が株式や企業融資など別の投資に回るようにすることにあります。

 
金融機関が今後も同じようなペースで日本国債へのエクスポージャーを縮小するかどうかははっきりしません。

 
みずほ証券のシニア債券ストラテジスト、早乙女輝美氏は、金融機関がここ数カ月「債券残高維持に努めている」兆しがみられると述べ、国内の融資機会はまだ限られており、海外資産も依然ボラティリティー(変動性)が高いため「しかたがない」と話しました。

 
指標となる10年物日本国債利回りは10月23日、一時0.6%に低下し、5カ月ぶりの低水準となりました。

 
一方、債券ディーラーからも、国内金融機関の長期国債に対する投資意欲が再び高まっているとの指摘が聞かれました。


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