日銀が市場から大量に国債を吸い上げている現状の危うさ

日本国債
日銀の異次元緩和以前から、国債入札の「偽りの安定消化」には、ほころびが見えつつありました。




プライマリーディーラー(国債市場特別参加者)各社は、それぞれ取れるリスク量の範囲内でしか国債の在庫を抱えられません。

リスク量はボラティリティ(価格の振れ幅)で計算しているときですら、たまに不調な入札が発生するようになりました。

プライマリーディーラー制度を導入した時点の国債発行量であれば、銀行抜きでも安定消化を実現し、あるいは完全な市場になったかもしれません。

しかし、その後も国債発行量は増加の一途をたどり、今やメガバンク抜きには国債の安定消化は難しい可能性が高いです。

国債落札ランキング(2013年4月~9月)
プライマリーディーラーの順位

1.野村證券
2.大和証券
3.三菱UFJモルガン・スタンレー証券
4.みずほ証券
5.メリルリンチ日本証券
6.三菱東京UFJ銀行
7.JPモルガン証券
8.ゴールドマン・サックス証券
9.バークレイズ証券
10.みずほ銀行

6位と10位にメガバンクが入っています。

特に欧州系のディーラーは、本社から日本国債ビジネスで取れるリスクを減らされていて、体力を弱めています。

そのうち撤退するのではないか、との声すら聞こえてきます。

そうした見えないほころびが顕著になったのが、まさに異次元緩和直後の相場の乱高下のときでした。

在庫を抱えられないディーラーが続出したのです。

ここで怖いのは、足元では日銀の政策効果で金利が安定しているように見えるものの、国債市場関係者が「嵐の前の静けさ」と口をそろえていることです。

というのも、財務省が年間約40兆円の国債を発行すると、債券ディーラー(メガバンク・証券会社)が仕入れた国債を、そのまま日銀に渡す取引(国債買い入れオペに即対応)のため、流通市場(銀行・生保・年金・ゆうちょ)への供給量が激減しているからです。

そのうえ日銀の国債買い入れオペにより、流通市場の国債保有量は年間13兆円減少しています。

したがって日銀は年間約50兆円の国債(年間発行額の125%)を購入していることになります。

干上がった国債市場では取引が減少していて、ディーラーの撤退も現実味を増します。

大きな売り買い注文が出れば、一気に価格が一方的に振れかねません。

そもそも10年金利が1%以下と驚異的に低く、実体経済とのリンクがほぼ切れている日本の金利には、国民も関心を持たず、ムラが形成されやすいのが国債市場です。

しかし、今や談合時代の均衡が崩れているだけに、突如国債が暴落し、国民全体に災難が振りかかる恐れもあります。

日銀が政策を修正し、談合時代の均衡に戻すか、あるいはシンジケート団制度の復活などで市場化を放棄するか、決断すべき時は遠くありません。


カテゴリー: 国債 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。