財務省と銀行の蜜月が反映された市場が国債の安定消化を支えてきた

日本国債
暴落しにくい閉鎖的な日本の国債市場の特殊性のポイントは「入札」の秘密にあります。

「投資家」であるはずのメガバンクが、財務省の思惑(おもわく)によって「債券ディーラー」のポジションに座っています。




実はこれ、世界広しといえども稀なのです。

どういうことなのか説明します。

株式の場合には取引所(市場)があり、投資家からの注文を受けた証券会社が取引所に発注します。

しかし債券には取引所がないため、各証券会社が「債券ディーラー」として取引所の代わりを務めます。

国債の場合も、この取引が主流です。

つまり各証券会社は、国債を入札で仕入れて在庫として抱え、投資家からの注文に応じます。

ディーラーの役目は、どんなに相場が乱高下しても在庫を確保し、その価格変動リスクを管理しながら流通市場で売値・買値を出すことです。

ところが、流通市場で役目を果たしていない銀行が、発行市場だけでディーラーとして入札に参加しているのです。

これは、「市場を創る」という発想からは全くズレた話です。

逆に言えば、安定消化のために銀行がいかに財務省から優遇されているかがわかります。

かつて国債発行は、合議で決めた価格で金融機関が引き受けるシンジケート団制度が中心でした。

ところが、毎年のように国債の発行額が増えたために、価格競争で入札する効率的な市場へと舵(かじ)を切ったのが2004年です。

欧米に学び、「国債市場特別参加者制度(通称:プライマリーディーラー制度、PD制度)」を導入しました。

ですが財務省はこのとき、シンジケート団引き受けの中心だった銀行をそのままプライマリーディーラーに入れて、目先の安定を優先してしまいます。

その後、今度は銀行の統合が進んで数自体が減り、かつ投資家としても巨額の取引を行うメガバンクが、おのずと国債ムラでの存在感を高めてきたというわけです。

この市場とは言いがたい財務省と銀行の“蜜月”が反映された妙な市場が、国債の偽りの安定消化を支えてきました。

日本の国債市場制度の問題点を整理してみましょう。

「ここまでやらなければ安定消化ができません」

国債市場特別参加者制度(通称:プライマリーディーラー制度)

国債入札に参加できる資格制度

国債の流通は取引所取引ではなく、大半が債券ディーラー(証券会社)の店頭で取引を行う「相対取引」。

ここで義務を果たしていない銀行が、発行市場に限り、債券ディーラーとしてメンバー入りし、メリットを享受しています。

第二非価格競争入札

価格競争で落札した総額に対して、追加的に15%を平均的な価格で追加購入できる制度

「うちの商品(国債)をたくさん買ってくれたら、こんなオマケをつけます」という制度であり、民間では禁止されているはずの「利益供与」に当たります。


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