国立がん研究センターなど国の6つの専門医療機関はがん、心筋梗塞、脳卒中の三大疾病と認知症などになりにくい生活習慣を探る研究プロジェクトを始めました。

約40万人を追跡調査し、病気になった人がどんな食生活や運動習慣だったかなどを調べます。自立した生活ができる「健康寿命」を延ばすための生活指針を2020年度にもまとめる予定ですので、医療費抑制に役立つほか、健康増進サービスの拡大にもつながりそうです。

食生活などは国ごとに異なるため、生活習慣と健康寿命の関係を知るには日本独自の総合的なデータが重要です。患者が多く医療費増大に影響する三大疾病と認知症などを対象とします。国は初年度の2017年度に約4億5000万円の予算を充てました。

国立がん研究センターのほか、国立循環器病研究センター、国立国際医療研究センター、国立長寿医療研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立成育医療研究センターが研究に加わります。約23万人分を持つがんセンターを中心に、それぞれ実施してきた調査データを持ち寄る予定です。

2017年度は各機関が続けてきた調査票や患者の通院時のデータなどを活用する準備に入ります。その後は共通の検査項目で、約40万人の健康状態を将来にわたり見守ります。血液検査も活用する方針です。データは提供者の同意を得て利用し、個人が特定されないようにします。

新たな研究では様々な病気のリスクを考え、どんな生活を送ると日本人で発症が少なくなるのかを総合的に探ります。各機関はこれまでもデータを蓄積してきましたが、心筋梗塞やがんなどの病気ごとに生活習慣などの影響を調べていました。

医療や介護に依存しない健康寿命を延ばせる最適な暮らしを明らかにするために、追跡で病気になった人とならなかった人の食生活、運動習慣、飲酒や喫煙の有無や量、肥満度などの関係を解析します。例えば、少量の飲酒は心筋梗塞や脳卒中のリスクを減らすとされますが、がんなどを含め総合的に発症リスクを減らす飲酒の習慣を解明したい考えです。

2020年度をめどに健康寿命を延ばすための指針の提言を目指します。2030年度までに政策に反映できるだけの十分なデータを集める計画です。

欧米でも数十万人規模で健康状態を追跡する研究はありますが、遺伝子の特徴と病気のなりやすさを探るなど調査対象を絞り込む例が多いようです。

健康寿命を延ばす運動や食生活の内容が科学研究で裏付けられれば、健康を指南する民間サービスにも追い風になるでしょう。体の動きを常に測れる装着型センサーや食事指導などの普及が期待されます。