量的緩和で日本がアメリカ型の格差社会に近づくことは幸せか?

格差社会
2013年になって企業経営は厳しさを増しています。

消費者離れを恐れる企業はエネルギーコスト増加分を価格に転嫁することをできるだけ抑えます。




その結果、2005年~2007年の好況期と比較しても、なおさら従業員の給与をアップさせることなどできませんし、世界の不透明な経済情勢を意識して内部に利益を貯めておくことになるのです。

さらに、インフレは格差を拡大させるメカニズムをはらんでいます。

日本は1980年代後半のバブル期でも2%程度の物価上昇率で済み、デフレになって16~17年たちますが、他の主要な先進国と比べて日本で格差の拡大が進んでこなかったのは、物価上昇率が低かった恩恵によるものです。

日本はGDPに占める企業利益の比率が減っている一方で、GDPに占める雇用者所得の比率はあまり下がってはいません。

他の先進国を見ると、グローバル経済下では企業利益率と労働分配率が概ね反比例の関係にあります。

グローバル化の進展後、米欧の企業は人件費を削って、株主配分を増やしてきました。

労働分配率が低いのはそのためです。

とくに顕著なのが、アメリカでの労働分配率が低いことです。

今のところ、日本はアメリカとは対極にあります。

日本の企業は株主の配分を重視せずに、人件費をあまり削ってきませんでした。

だから、日本国民はアメリカ国民よりもマシな生活ができているのです。

インフレ経済を進めるのは、株式などの資産が買われる環境をつくりだすということですが、そうなると日本株を買い続ける外国人株主の発言力がいっそう強まっていきます。

企業の利益配分は労働者よりも外国人株主を意識したものになっていきかねません。

これは日本がアメリカ型の格差社会に近づいていくことになりかねませんので懸念すべきことです。

すでに日本の企業でも、一部の企業は労働者を使い捨てにするような環境で株主配分を強めています。

従業員を消耗品のように使っている企業には、利益率が高いところが多く、中には新卒社員の5割が3年以内に辞めるような、まさに資本家重視のアメリカ型企業といえるところがあります。

ただでさえ世界的に原油などのエネルギー価格が右肩上がりで上昇していた時期に、大幅に円安が進んでしまったことで日本が輸入するエネルギー価格がさらに急騰してしまいました。

そのため、2005年~2007年の間に世界経済が史上空前の絶頂期であった中で、日本の国民所得は増えませんでした。

また、大幅な通貨安が進んだはずなのに、その間の物価上昇率が0.3%程度で済みました。

企業は売上げが伸びても、将来のエネルギー価格の上昇基調に備えて、所得のアップにまわすはずのお金を出し渋ってしまったのです。

別の言い方をすれば、企業がエネルギー価格の高騰分をモノの価格に転嫁せずに、人件費を削るほうに重きを置いた経営を行ったから、とも言えるのです。

これは、戦後続いてきた「景気の拡大=所得の上昇」あるいは「企業収益の拡大=所得の上昇」という関係が、エネルギー価格の高騰によって成り立たなくなったことを意味しています。

もはや、通貨安によって景気が良くなるという考え方は、国民生活の視点から見ると楽観的すぎるという現実があります。

本当の景気回復とは、国民生活が豊かになることであり、株価が上昇することではないからです。

株高による資産効果があるのは、ほんの一握りの資産家だけです。

金融危機後のアメリカ国民は所得が下がり続けている中で、量的緩和によってもたらされた物価上昇によって生活が年々苦しくなってきています。

企業利益率が最高でも、国民の3分の1が貧困および貧困予備軍であるアメリカと、これまでの日本とでは、どちらがいいでしょうか。


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