ジム・ロジャーズ氏は通貨不安がやって来ることを最も心配している

ジム・ロジャーズ
2013年の10月19日で71歳になるジム・ロジャーズ氏はヘッジファンドの先駆者で、投資先は株式・通貨・現物・先物など多岐にわたるマルチタスクをこなしてきました。




国際情勢や各国の金融政策・社会トレンドなどを詳細に調査し価格の上下を予測するという投資スタイルです。

クォンタム・ファンドをジョージ・ソロス氏と共同創設し、設立10年で4200%のリターンを実現しましたが、世界を旅するために37歳で引退、現在は尊敬される投資家、6冊の本の著者、子供たちを溺愛する父親となっています。

アジアが優位に立つことを確信していますが中国の大気汚染を嫌い、7年前に家族をニューヨークからシンガポールに移住させました。

2人の娘には中国語を習わせています。

ジム・ロジャーズ氏は「最近の世界経済をどのように見ているか」の質問に対して次のように答えています。

全ての主要な中央銀行、全ての主要国の政府が自国通貨の価値を積極的に下げている。これは有史以降初めてのことだ。日本は無制限に紙幣を印刷すると言った。するとバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、「われわれは年間1兆ドルを投入することができる」と言った。欧州は「必要なことは何でもする」という。世界は流動性であふれ返っており、それを享受している人々は楽しい時を過ごしている。でもそれは完全に人工的なもので、ひどい終わり方をするのは目に見えている。

「まだインフレになっていないのだから量的緩和策もしばらくは持続可能なのではないか」の質問に対してのジム・ロジャーズ氏の回答です。

米国政府によれば、の話だ。ところが何かを買おうとすると、例えば保険、食品、紙でさえ、ほとんど全てのものが値上がりしている。インフレはインド、中国、ノルウェー、オーストラリアなど、米国の労働統計局以外のあらゆるところで起きているのだ。

労働統計局はうそをついている。ニューヨークのレストランや食料雑貨店に行ってみれば分かることだ。2001年には9ドルでエンパイア・ステート・ビルの展望台に上れた。それが今では44ドルだ。10ドルだった近代美術館の入館料は25ドルに上がった。30ドルプラス橋・トンネルの通行料だったジョン・F・ケネディ空港からマンハッタンまでのタクシー料金は今や52ドルからである。

「株式市場は最高値圏にあるべきなのだろうか?それとも経済よりも先走ってきただけなのか?」についての答えです。

印刷された膨大な量の通貨はどこかに行かねばならず、金融市場に流入することが多い。しかし、値上がり幅は小さくなってきている。上昇している大型株はどんどん少なくなってきている。1999年のバブルの終わり間近にも似たような現象が起きていた。今日の株価上昇がどれほど続くかは分からないが、永遠に続くことはない。とは言ったものの、現実的にこの市場をショートするわけにもいかない。

有望な投資先については次のように答えています。

農業は向こう数十年間で最高の投資の1つだと思う。過去10年間の大半で、世界が消費した食糧は生産量よりも多かった。従って蓄えは過去最低に近い状態にある。農業従事者の平均年齢は米国とオーストラリアで58歳、日本では66歳である。高齢の農業従事者たちは亡くなったり、引退したりしているが、若者は農業に従事しようとしない。労働力、経営者、資本を引き寄せるためには価格を大幅に上げる必要がある。さもないといずれは食糧不足に陥ってしまうだろう。

「米国の金利の上昇に伴って新興国市場から資本が流出している。新興国投資を少しずつ減らすときなのか?」の質問に対しての回答です。

私はインドやトルコといった新興国市場をショートし続けてきた。あなたが生涯で1つの国しか旅行できないとしたら、是が非でもインドへ行ってほしい。史跡、文化の幅広さなど、世界で最も特別な国である。ところがインドは国の運営に関しては救いようがない。多額の貿易赤字を抱えているインド、トルコ、インドネシアといった国々は、膨大な流動性があるときにはさまざまな国費を簡単に賄える。ところが、こうした人工的な流動性がいつまでもあるわけではないということに人々が気付いたとき、多くの問題が生じるだろう。

それ以外では、新興国市場に特に問題はない。ロシアに関しては46年間ほど悲観し続け、アルゼンチンに次いで世界で2番目に嫌われている市場になりつつあると考えていた。ところが好ましい変化が起きており、今は注目している。インデックスの構成銘柄を幾つかとアエロフロート(AFLT.ロシア)を購入した。ミャンマーも選好しているが、株式市場は創設段階であり、購入できる銘柄はあまり多くない。しかし、タイのノック・エアラインズ(NOK.タイ)は同国で運航している。長い目で見た場合、ミャンマーはかなり有望だと思う。

「金は1トロイオンス=1921ドルの最高値から32%も下げている。現在も買っているのか?」の質問に対しての答えです。

保有はしているが、今は買い増していない。金の価格は12年連続で上昇した。これはかなり異例なことだ。1度も下落せずに12年連続で上がり続けたものなど、私は他に知らない。金は今、調整局面にあるが、その調整も通常とは違ったものになると予想している。

私はかつてテレビのインタビューで金の価格が1200ドルまで上昇し得ると述べ、実際にそうなったときに買い増した。50%の調整というのは普通に起こり得ることで、最高値から50%戻していたら、金の価格は960ドル弱となっていただろう。インドが金の世界一の消費国であることを忘れてはならない。インドにとって金は石油に次ぐ輸入品なのだ。インドの政治家たちはさまざまな問題を金のせいにし、輸入される金への課税や制限を増やし続けている。私は向こう1~2年のうちに、金を買うチャンスがまた来るかもしれないと思い、それを待っている。しかし、現在保有している分を売る気はない。金の価格は最終的に、2000ドルを優に超えてくるだろう。

日本株について聞かれたジム・ロジャーズ氏は次のように答えています。

日本株は相場が上昇した後の5月に売却したが、それでも少し早過ぎたかもしれない。というのも、これだけの流動性があれば日本株はもっと上昇し得るからだ。パーティー会場を後にした後、そこに戻るべきか否か考えていたが、自分が疑わしいと思っていることにかかわって良かったことはあまりない。

「日本にとっての長期的な問題とは何か?」という質問に対しての回答です。

日本の根本的な問題は人口動態だ。移民を受け入れたり、出生率が上がったりすれば、日本はとても魅力的になり得る。しかし、そうはなっておらず、財政出動もやめなければならない。日本は世界最大の対内債務国だが、安倍首相はさらに政府支出を増やすつもりだという。この10年間ほど、世界中の政治家たちが、過剰債務という問題をさらなる債務で解決すべきだと言っていることに私は驚がくしている。

「人工的な流動性について懸念しているということだが、注目している具体的な危険信号はあるか?」という問いには次のように答えています。

通貨不安がやって来ることを最も心配している。円の価値は1年に満たない期間に、対米ドルで25%以上も下落した。世界で最も重要な通貨の1つとしては、驚くべき変動である。ユーロはコンセプトとしては素晴らしかったが、運営方法がまずかった。そして米ドルは世界の歴史でも最大の債務超過国である米国と結び付けられている。

私は人民元を保有している。米ドルも保有しているが、それは米国を信頼しているからではなく、どこかに投資しなければならないからだ。通貨不安になると、人々は米ドルに飛び付くことだろう。安全な避難場所ではないが、そう考えられているからだ。私は自分の思い通りの世界で投資できるわけではない。世界の状況に応じた投資をしなければならないのだ。

ここでの出費があるので、私はシンガポールドルも保有している。シンガポールは輸出経済であるにもかかわらず、インフレへの対処策として自国通貨の価値上昇を容認している。綿花畑も石油も天然資源もない同国は全てを輸入に依存している。中国はシンガポールから学ぶべきである。中国国民13億人の暮らし向きは人民元の価値が上がった方が良くなる。生活費が下がるからだ。もちろん、輸出業者などは調整を強いられるだろう。日本の円は、過去数十年間に対米ドルでかなり価値を上げてきたが、日本は依然として対米貿易黒字を維持している。ところが中国は自国のやり方を通しており、これは同国の過ちの1つだと思う。

最後の質問「あなたは自分の子供たちに伝えたい人生の教訓に関する本を書いた。今日、米国の若者には何を伝えたいか?」に対する回答は次のとおりです。

外国語を学ばなければならないということだ。最低1つは学んでほしい。もはや1953年ではないのだ。世界における米国の相対的な立場は低下し続けるだろう。米国人は他国のことを知り、その気を引く必要がある。もし私に何か1つできるとしたら、米国の教育システムを大改革し、米国人に世界のことをもっと学ばせることだろう。米国は世界最大の債務超過国である。他の国々のことを気にせずに済んだ時代は終わろうとしているのだ。

世界中に多くのファンを持つジム・ロジャーズ氏のインタビュー内容は、いつも気づきを与えてくれます。


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