財政で信用を失ったイタリア。日本の未来の姿にならなければ良いが・・・

イタリア財政破綻
国債の歴史を振り返ると、国債暴落が起きる前に、市場は警告を発しています。

市場が危険だとする国債にはリスクプレミアムが課せられます。

また価格が高すぎ、さらに利回りが低すぎると見られた国債はいずれ暴落します。




市場は、その国の経済状態や財政規律の程度を、価格メカニズムを通じてチェックしています。

市場からの警告をまじめに受け取らず、いびつな形で国債を扱っている国は、まさにアダム・スミスが言う「見えざる手」によって、制裁が加えられます。

それは見方を変えれば、市場からのメッセージにまじめに向き合えば、リスクを回避できるだけでなく多くの見返り(リターン)がもたらされるということです。

かつてヨーロッパでは、1999年の通過統合を目指し、各国は財政赤字の削減を目標にしていました。

そして「弱いヨーロッパ」と呼ばれたイタリアなどの南欧諸国は、財政赤字の削減を果たさなければ、ユーロに加盟できない状況になりました。

イタリア国債には、ヨーロッパで最も信用が高い国債とされるドイツ国債よりも、常に高いリスクプレミアムが課せられました。

イタリアはその状況を放置せず、1990年代に財政赤字の削減努力を一生懸命行いました。

その結果、ユーロ加盟を果たし、加盟後はユーロの力を享受し、成長することができました。

イタリアは、公務員を削減したため、バスの路線、町の美化、ゴミ回収の回数など行政サービスが減りました。

また、財政赤字削減のため、年金の受給年齢を引き上げ、公的年金も減額し、地方自治体への財政援助を減らしました。

そして徴税を担当する専門の「税務警察」を強化しました。

この警察は、イタリアに数多くあったマフィア組織を次々に摘発し「地下経済」を表に出して課税しました。

イタリアでは、マフィアメンバーになるだけで厳罰なのです。

さらに脱税者にも厳罰を科しました。

賄賂(わいろ)、無駄遣いなどをした自治体は、「賄賂の町」「無駄遣いの町」と公表し、政府からの予算配分を削減しました。

これだけの努力をして、1990年代後半にイタリアはプライマリーバランス(基礎的財政収支)の赤字解消をほぼ達成しました。

そして、イタリア国債のリスクプレミアムは、1990年代末には、ほぼ無くなりました。

市場からの評価を受けて1999年、イタリアはユーロに参加できたのです。

このように市場からの警鐘を真剣に受け止め、その改善に努力した国には、見返り(リターン)があるのです。

しかし、その真面目さも、長い無駄遣いの後で、限界がありました。

2009年からのユーロ危機の中で、イタリアは借金の多い国として、国債が下落してしまいます。

イタリア人一人ひとりは優秀なのですが、政治となるといつも混迷が続きます。

歳出削減が必要になりますが、議会で政治家たちは不人気につながる政策を実行できません。

そこで著名な経済学者で、欧州委員会の委員を務めたマリオ・モンティが2011年1月から首相になります。

ところが歳出削減策はイタリアを混乱させました。

2013年3月、選挙の結果、イタリアはどの党も多数派が取れず混乱、モンティ氏は退陣の見込みとなりました。

モンティ首相になってイタリアは増税と緊縮策を実行。

固定資産税は、2倍以上になりました。

資金労働者は所得税が増え、そして店は増税と客の減少で、閉めるところが増え、ミラノではシャッターが下りた「閉店」の看板だらけになりました。

そこで元首相でスキャンダルだらけだが大金持ちのベルルスコーニ氏が「私が勝てば税金を戻す」と言って政界に再登場し、混乱がさらに広がりました。

2013年8月に最高裁はテレビ局グループ「メディアセット」が番組放映権購入に絡む脱税事件で禁錮4年(恩赦法で1年に減刑)とした下級審の判決を支持する判断を下し、ベルルスコーニ氏の有罪判決が確定しました。

ただし、下級審判決の5年間の公職禁止については高裁に審理を差し戻し、当面は上院議員の職を維持することになりました。

イタリア政府の財政緊縮策などに抗議するデモが10月19日、首都ローマの中心部であり、暴徒化した一部のデモ参加者が警察部隊と衝突しました。

イタリア紙コリエレ・デラ・セラによりますと、デモ参加者15人が身柄を拘束され、衝突で警察部隊側20人が負傷しました。

 
参加者は約7万人。労働者、失業者、学生などに加え、難民認定を求める不法移民も参加しました。

大半のデモ隊は平和的に行進しました。

しかし、覆面姿の約200人が警察部隊に投石し、銀行のガラスを割るなどしました。

財務省前で大規模な衝突が起き、暴徒化したデモ隊が発煙弾や卵を庁舎に投げつけました。

デモ行進のルートでは警察当局が手製爆弾を発見し、処理しました。

また、コリエレ・デラ・セラによりますと、10月19日、同紙と政府社会基盤省などのコンピューターが、国際的ハッカー集団「アノニマス」によるとみられるサイバー攻撃を受けました。

イタリアの姿は日本の未来に見えます。

一度財政が信用を失えば、さまざまな影響が出てしまうのです。

ところが日本では市場からのメッセージを真剣に受け止めている気配がありません。

それどころか政府は、今の低金利を利用し、日本国債の大量発行を続けています。

また国民は、財政規律を政府に求めていません。

国債金利は、民主主義の成熟した国のほうが、他国の国債よりも低くなる傾向にあることを既に述べました。

日本の民主主義の成熟度にも疑問を持ってしまいます。

日本国債の危機について、自省もせずに「まだ大丈夫」などとしている政府、そして、その背後にある国民の当事者意識の欠如が、歴史が示すように国債暴落と国の破産を招くことになるでしょう。

日本国民の平均的な能力、そして公的意識の高さは世界有数のものであることは違いありません。

それなのに政治問題になるとどうしておかしくなってしまうのか、とても不思議です。

「アベノミクス」で財政の問題をぼやかすイメージを振りまく安倍政権の責任はとても重いと言えるでしょう。

私たちは騙されてはいけません。


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