IMFが2013年と2014年の世界成長率予想を下方修正

IMF
国際通貨基金(IMF)は10月8日公表した最新の世界経済見通し(WEO)で、2013年と2014年の世界成長率予想を下方修正しました。

資本流出で新興国の景気の勢いが一段と弱まると指摘し、米国がデフォルト(債務不履行)に陥れば世界経済に「深刻な打撃」を与える恐れがあると警告しました。

IMFは今年の世界経済の成長率を2.9%、来年を3.6%と予想。

7月時点では今年が3.1%、来年は3.8%と見込んでいました。

新興国の今年の成長率は4.5%と、3カ月前よりも0.5ポイント下方修正。

中国とメキシコ、インド、ロシアの見通しを引き下げました。

オリビエ・ブランシャール調査局長はWEOの序文で、「先進国は徐々に景気の勢いが強くなりつつある」としながらも、「新興国の経済成長は減速した」と指摘。

「このような状況が重なることが緊張を招き、新興国は成長鈍化と世界的な金融情勢の引き締まりという2つの難題に直面する」と懸念を示しました。

IMFの経済見通しは短期間の米政府機関閉鎖と、連邦債務上限の引き上げ問題が10月17日の期限前に決着することを前提としています。

IMFは、協議が行き詰まりデフォルトを招けば「世界経済に深刻な打撃を与えかねない」とした上で、「政府機関閉鎖が長期化すれば、成長に大きな悪影響を与える恐れがあり、債務上限を速やかに引き上げなければ金融市場や経済活動にも悪影響が及び、世界経済に波及しかねない」と警告しました。

ブランシャール局長は10月8日の記者会見で、「債務を返済できなかった場合の影響は直ちに表れ、米国および世界の金融市場で大きな混乱が広がる可能性がある」と指摘。

その上で、「これはテールリスクであり、起きる可能性は低いと考えているが、もし実際に起きれば深刻な影響をもたらす」と続けました。

米経済についての質問には「債務上限の引き上げに問題が生じれば、現在回復中の景気がリセッション(景気後退)、もしくはさらにひどい悪化を経験することも十分あり得る」と言明しました。

欧州が債務危機を克服しつつあることや米住宅市場の回復を受けて、世界各国の政策担当者の懸念は、異例の金融刺激策の解除という未知の領域に移っています。

米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が5月22日に向こう数回の連邦公開市場委員会(FOMC)で資産購入の縮小に着手する可能性を示唆した後、債券相場は世界的に下落し、新興市場株も急落しました。

米当局が9月に債券購入の縮小を見送ったため、相場は回復したものの、IMFは新興国の国債利回りが年初よりも0.8ポイント高いと指摘。

「このような変化は、経済活動が鈍り資産の質が低下している新興国にとってリスクになる恐れがあります。

米連邦準備制度は慎重な政策の実行と明確な意思伝達が不可欠になる」と強調しました。

IMFはまた、米当局が2008年12月以降ゼロ近くで据え置いている政策金利を2016年よりも前に引き上げることはなく、債券購入の縮小を年内に開始すると予想しました。

さらに、米国は中期的な財政計画の改善が必要だとした上で、今年の強制的な歳出削減がIMFの想定よりも大きな経済の足かせになる可能性があると分析。

米国の成長率を2013年が1.6%、14年は2.6%と、7月時点の予測よりもそれぞれ0.1ポイントずつ下方修正しました。

日本については、2013年の成長率を2%、2014年を1.2%に据え置く一方、今後数年について健全な財政計画が必要だと指摘。

現行の財政・金融刺激策は効果的であることが示されているものの、日銀はインフレ期待を2%の目標まで押し上げることができない場合、新たな金融刺激策を準備すべきだと主張しました。

ユーロ圏の2013年成長率予想はマイナス0.4%と、7月時点の予測(マイナス0.6%)から上方修正しました。

2014年成長率見通しはプラス1%とし、3カ月前のプラス0.9%から引き上げました。

イタリアとスペインは今年、マイナス成長となる見込みですが、スペインの成長率予想はマイナス1.3%と、3カ月前の予測(マイナス1.6%)から上向き修正されました。

IMFはユーロ圏の金融業界がなお脆弱との認識を示し、来年予定される欧州中央銀行(ECB)による銀行バランスシート審査が「金融システムの基盤を健全化する重要な機会になる」との見解を表明しました。


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