総務省では、放送サービスの高度化に関する施策の一つとして、放送番組とウェブが連動し、多様なコンテンツやアプリケーションがテレビやモバイル端末上で動作するスマートテレビを推進しています。
また、公共の電波を利用した放送を受信するテレビ端末という役割においては、視聴者視点に立って安心・安全な仕組みが損なわれることのないようサービスを提供することが求められています。
そこで、ハイブリッドキャスト実証実験では、ハイブリッドキャスト技術を活用し、ユーザ視点に立った使いやすいインタフェースの実現や安全・安心な新しいサービスの普及促進を目指して、参加各局が実際の放送番組を通して検証を行います。
ハイブリッドキャスト技術は、放送と通信を連携させた新しいテレビサービスを実現するものです。
対応テレビ受信機によって、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)でみんなと一緒に番組を楽しんだり、スマホやタブレットを連携することで、好みのカメラ映像を選択したり、お茶の間からクイズや人気投票に参加できるようになったりします。
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テレビ東京の実証実験番組は『MISSION 001~みんなでスペースインベーダー~』
『MISSION 001~みんなでスペースインベーダー~』は、“テレビを使ってみんなで一緒にゲームをする”というコンセプトの視聴者参加型双方向番組です。
タイトーが1978年に企画・開発・販売し、世界的にブームを巻き起こしたゲーム「スペースインベーダー」をモチーフにすることで、ファミコンやアーケードゲームを体験した世代から現代の若者まで、幅広い視聴者が参加できる番組を目指します。
ドラマ部とゲーム部に分かれていて片岡愛之助と真野恵里菜が出演します。
片岡愛之助扮する宇宙人(地球外生命体)が、宇宙から戦争を挑んできて、秘密裏に用意されていたスマホで操作できる宇宙船を駆使して戦うのはテレビの前の視聴者という設定です。
スマホを起動して敵と同じ色のボタンをプッシュして、みんなの連打で敵を倒します。
テレビには、ゲームの参加者数や全国の順位などが表示されます。
ゲームなどはデータ放送対応テレビやセカンドスクリーン端末でも楽しめますが、ハイブリッドキャスト対応テレビでは自分のスコアなどが、よりリッチに表示されます。
ゲーム要素を取り入れることで、テレビの「リアルタイム視聴」を促す取り組みとしてもアピールします。
また、トータルスコア上位1,000名には商品として「100万Pontaポイント」を用意。
参加者がポイントを獲得できる仕組みも用意し、参加を促します。
1月3日放送のため、民放初のハイブリッドキャスト連動番組となります。
◆放送日時: 2014年1月3日(金)夜11:30~0:55 テレビ東京系列にて生放送
◆出演者: 片岡愛之助 ・真野恵里菜 ほか
◆番組公式Twitter: @TX_MISSION001
テレビ朝日はHybridcastコンテンツ「クレヨンしんちゃん」
2014年2月下旬からスマートテレビの実証実験をスタートする予定です。
(※実証実験の対象となる番組の放送日時は各局で異なります。)
実証実験番組① アニメ(番組と連動するサービス)
「クレヨンしんちゃん」(毎週金曜よる7:30~7:54放送)にて、Hybridcastコンテンツの「しんちゃん」が登場します。
リモコンのdボタン、もしくはスマホの専用アプリを操作すると、トップ画面が表示され、画面に表示されたロボットの「しんちゃん」を左右に操作できるほか、「ミサイルパンチ」、「飛ぶ」などの操作が可能です。
また、現在データ放送で実施中のゲーム企画「東西南北あっちむいてホイ!」もHybridcast版で楽しめる様になります。
「東西南北あっちむいてホイ!」とは、番組の最後に放送されるコーナーで、しんちゃんが向く方向を予想し、画面に表示される「東西南北」4つのボタンから1つを選ぶというものです。
得点を集めるとプレゼントに応募できます。
実証実験番組② 地域情報、天気情報(お役立ち情報サービス)
天気情報・交通情報など生活お役立ち情報を、Hybridcast版でお届けする予定です。
なお、ハイブリッドキャストに対応していないテレビでも、従来通りのデータ放送を活用したサービスを行います。
フジテレビの実証実験番組『人狼 ~嘘つきは誰だ?~ village05』概要
番組名称
『人狼 ~嘘つきは誰だ?~ village05』
放送日時
2014年3月上旬(予定) ※関東ローカル
出演者
調整中(9名の出演者を予定)
放送内容
「人狼」とは、9名のプレイヤーの中に潜んだ2匹の狼(人狼)を当てる疑心暗鬼の心理トークバトルゲーム。登場するプレイヤーにはお笑いタレントをはじめ、俳優、アイドル、文化人など多彩な顔ぶれが一堂に会し、通常のバラエティとは趣の異なった心理トークバトルが繰り広げられます。
番組では、今までの放送同様PC・スマートフォン、データ放送などを駆使するほか、ハイブリッドキャストという最新技術を用いて、視聴者のみなさまに一層番組を楽しんでいただくため、マルチデバイス連動番組という新しいTVの視聴スタイルとして提供する予定です。
番組公式HP
http://www.fujitv.co.jp/jinroh/
ハイブリッドキャスト技術を用いた企画(予定)
(1) ハイブリッドキャストを駆使した映像表現
ゲームの進行状況やキャストのプロフィール、視聴者による追放者予想投票状況をリアルタイムに表示。また追放者予想クイズもオーバーレイを駆使して、テレビ画面上により視覚的に、より臨場感をもったHTML5のグラフィックで番組を演出。
(2) Twitterとの連携の強化
番組の実況ツイートやキャスト(出演者)のツイート、さらに視聴者から寄せられたツイートもテレビ画面にリアルタイムに表示する、TVとTwitterを連動させた新しいTV-SNS連携を提供。
(3) ハイブリッドキャスト連動CMの実施
セカンドスクリーンを利用して、番組内に流れるCM中の視聴者参加イベントに参加することにより、CMに関連したグッズが当たる連動企画やCM連動ゲームなどのサービスイメージを提供予定。
日本テレビのハイブリッドキャスト対応番組 放送予定
日本テレビでは、FacebookやTwitterでみんなと一緒に番組を楽しんだり、スマートフォンやタブレットを連携させて番組に参加できるソーシャルエンターテインメントシステム「JoinTV」を開発してきました。
これまで、さまざまな番組で、テレビとインターネットを連携させた、新しいソーシャル視聴体験を提供してきました。
今回、「JoinTV 」システムを、データ放送やスマートフォンだけではなく、ハイブリッドキャストにも対応させ、HTML5を活用したよりリッチな表現を始めとする新しい視聴体験を提供します。
また、日本テレビでは、ハイブリッドキャストや双方向番組を普及させていくためには、手軽に番組で活用できる汎用的なシステムの構築が大切だと考えています。
このため、汎用化した投票機能「Join投票」や、コミュニケーション機能「JoinTalk」を開発。
これらの機能を活用して、複数の番組でハイブリッドキャストにも対応した放送を実施します。
※Join投票
視聴者からの投票をリアルタイムで集計し、アンケートやクイズに活用できるシステムです。TwitterやFacebookとも連携し、ネット上の友達がどの選択肢に投票したかも分かるようになっています。
※JoinTalk
視聴者が自らスマートフォンでアンケートを作成し、友達のテレビ上にメッセージとともに表示することができる機能です。
番組に対する感想を友達同士で共有できるほか、テレビのリモコンで簡単に回答ができるため、遠隔地にお住まいの高齢のご家族とのコミュニケーションにも活用できます。
現在予定されているのは以下の番組です。
『JoinTV Shopping(仮)』
1月25日(土)16時10分~16時50分 ※関東広域
「商品の値段は視聴者が決める」と題して、通信機能を活用して、視聴者が商品の値段を決めるなどの双方向展開を図ります。
『ズームイン!!サタデー』
2月15日(土)5時30分~8時00分 ※全国ネット
『JoinTalk』
2月下旬。放送と連動しません。
テレビやスマートフォンデバイス横断型コミュニケーションサービス「JoinTalk」機能実施。
スマートフォンで視聴者が作成した簡易アンケートに、視聴者がテレビのリモコンで回答するなどの展開を予定しています。
※iOS版/Android版は12月16日公開予定
※データ放送版は徳島県全域で12月16日から。関東広域にて2月下旬に予定しています。
TBSテレビでは「第22 回全日本高校女子サッカー選手権大会」内で実施
TBSテレビでは「第22 回全日本高校女子サッカー選手権大会」内で「ハイブリッドキャスト2014」を実施します。
2014年1月15日と16日にTBSで放送する「高校女子サッカー準決勝・決勝」では、チームや選手に関する多種多様なプレイデータをテレビ上に並べながら、サッカー観戦を楽しむことができます。
事前取材やリアルタイム取得されるプレイデータ、例えば選手のプロフィールや試合中の動きなどをネット経由で配信します。
データスタジアムが提供するデータは、直近にボールタッチした3人を表示する「リアルボールタッチ」、プレイ頻度が高いエリアを示す「ヒートマップ」、パス成功率ベスト5を示す「パス交換」、「走行距離」などを表示可能です。
どのデータを表示するかは、テレビリモコン、またはスマートフォンやタブレットなどのセカンドスクリーンを操作することで、視聴者のみなさんが自由に選択できます。
また、試合終了後にセカンドスクリーンへハイライト映像のVOD配信を行なうなどの展開も予定しています。
各高校のチーム名鑑・選手名鑑から、試合当日の各選手の走行距離やシュート数など、TBSが総力を上げて取材した膨大なデータ群から、あなたが欲しい情報をピックアップし、様々な切り口でサッカー観戦をお楽しみください。
北海道テレビの実証実験番組は『イチオシ!プラス』
2014年2月1日(土) 10:45~11:15 放送
2014年3月まで実施予定
北海道の食を応援するという番組ですが、番組の進行に連動してセカンドスクリーンに情報を表示します。
視聴時間に応じてポイントを付与するなどの展開を予定しています。
大阪の民放5局などで設立された「マルチスクリーン放送協議会」
マルチスクリーン放送協議会は、在阪民放5局などで設立された任意団体で、ローカル放送局が簡単に使える仕組みを構築し、セカンドスクリーン連携に特化したハイブリッドキャストアプリやコンテンツ制作システムを放送局で共有します。
そしてローカル局による新サービスへの参加を促します。
「Hybridcast 2014」で制作ノウハウなどを蓄積
ハイブリッドキャストで放送連動を行なうことで生じるサーバー負荷などについては、各社とも大規模なデータ放送連動サービスなどをすでに実施していることから、「対策済み」との認識を示しました。
リアルタイム性が高く、かつ生放送となるテレビ東京の「スペースインベーダー」も、バスキュールとの協力などで体制を整えているといいます。
「Hybridcast 2014」における利用者数の目標は各社とも持っていないようです。
ただし、テレビ東京(スペースインベーダー)については、「Hybridcast自体の目標は持っていないが、セカンドスクリーン対応サービスという意味で、TBSさんのリアル脱出ゲームを意識している」と説明しました。
フジテレビは、「成功の目安はない。視聴率でもプレゼントの応募数でもない。ただ、人狼は濃密なファンがいる番組で、そうしたファンの皆さんがどういう意見を寄せてくれるか、そこを見て判断したい」と語りました。
今回の実証実験の狙いは、実際にサービス展開した上で、連動サービスやアプリ、テレビの挙動などにどのような違いがでるか、視聴者がどう反応するかなどを見極めるのが目的ということで各社の見解は一致しています。
日本テレビでは、「使い勝手やコンテンツ開発などでハイブリッドキャストの特性やテレビの挙動の違いなどを見極めて、コンテンツ制作のノウハウを蓄積したい」と説明しました。
テレビ朝日も「数を集めるのが目標ではない。技術検証が多く含まれている。データとハイブリッドキャストの切り替えの検証や、非連動型と連動型とのシームレスな切り替えなどの検証に注力していきたい」と話しています。
TBSは「アプリがインストールされるいろいろな環境での挙動など、技術課題の洗い出しが主な目的。グループインタビューでの課題吸収などで、次の企画に繋げたい」という考えを示しました。