ウクライナ危機で金価格が急騰。「有事の金」に惑わされないように!

金 ゴールド
ウクライナ危機で、久しぶりにドル建て金価格が一時30ドル急騰し、1350ドル台まで上がっています。




ただし、有事には円も買われますので、101円台まで円高が進行した結果、円建て金価格はグラム数十円上がった程度です。

それでも、有事の金が買われたのは久しぶりのこと。

近年は、「有事のドル」あるいは「有事の円」が買われる傾向が強まっています。

とはいえ、リーマン・ショックや欧州債務危機という「経済有事」には金が買われています。

そもそも「有事の金」は、米ソ冷戦時代に、核戦争に対するヘッジとして金が買われたことに由来します。

当時、スイスでは敷地内に「核シェルター」を作り、その中に金貨などを退蔵する例も見られました。

しかし今や、その家庭用シェルターはワイン・セラーとなっています。

冷戦終焉(しゅうえん)の象徴的な出来事です。

ベルリンの壁崩壊とともに、「有事の金」の必要性は薄まり、イラク戦争開戦時には、逆に有事で金が売られ金価格も急落しています。

米ソ冷戦のような、世界の超大国同士が開戦の危機にでもならない限り、有事の金にはならず、むしろファンドの利益確定のチャンスとしかなっていない模様です。

しかし、9.11米国同時テロで「有事の金」が復活しました。

株、債券、ドル、原油、全て急落する中で、金価格は270ドルから300ドルまで急騰し、メディアでは一転「有事の金復活」とはやされました。

それ以来、金価格は2011年に1900ドルを超えて史上最高値をつけるまで歴史的上げ相場に突入したわけです。

これは言うまでもなく、債務問題、財政問題により、ソブリンリスク=国へ投資するリスクが高まった現代、ペーパーマネーではなく「実物資産の金」となっています。

有事を予測して買ってニュースで利益確定のため売る投機筋のプロにしてみれば、「有事の金」に誘われて買いに入ってきた個人投資家は「飛んで火に入る夏の虫」。

結局、個人はハシゴを外され、眠れない夜を過ごす羽目になります。

金は平時にコツコツ貯めて、いざというときに売って凌(しの)ぐものなのです。

「有事の金は売り」を実践したのが韓国です。

韓国は「アジア経済危機」のときに極度の外貨不足に見舞われ、国民から金製品の供出を募って200トン以上の金を集め、ロンドン市場で売却しました。

対価としてドルを調達することで外貨不足を乗り切りました(金の年間生産量が2822トンですから、200トンは年間生産量の7%程度に相当します)。

もちろん、没収ではなく、ウォンとの「両替」です。

個人のレベルでも、先祖代々引き継がれてきた「家宝の金製品」を、「家庭内有事」が勃発したとき、売って凌いだ、という例を時折耳にします。

金価格の高騰原因が「経済有事」であっても、尋常ではない上昇をした場合は、機関投資家、ヘッジファンドなどの利益確定の機会となってしまうのかもしれませんので「有事の金」の言葉の持つ妖しい響きには惑わされないようにしたいものです。


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