所得の少ない高齢者世帯の割合が増え所得格差が過去最大 – 所得再分配調査

ジニ係数
厚生労働省は3年に1回「所得再分配調査」と呼ばれる調査を行っていて、2011年7月から8月、岩手、宮城、福島の3県を除いた44都道府県で7月から8月にかけて行い5021世帯から回答がありました。




それによりますと、公的年金などを除いた1世帯当たりの平均所得は404万7000円で、前回平成20年の調査と比べて40万4000円、9.1%減りました。

そして、世帯間の所得の格差について、全世帯が同じ所得であれば「0」、格差が大きくなればなるほど「1」に近づく「ジニ係数」と呼ばれる指数で見てみますと、0.5536で前回よりも0.0218ポイント増え、格差が広がりました。

所得格差

格差が広がる傾向は、昭和59年以来続いていて、平成23年は調査を始めた昭和37年以降で過去最大となりました。

これについて厚生労働省は「所得の少ない高齢者世帯の割合が増えていることなどで、格差は広がった。ただ、年金や税などの制度による所得の再分配機能で是正も図られている」としています。

とはいえ、経済協力開発機構(OECD)基準のデータでは、2000年代後半の日本のジニ係数はOECD加盟34カ国中、格差の大きい方から11番目です。

OECD ジニ係数

「暮らし向きはじりじりと悪くなっている」と話す年金生活者は少なくありません。

「反貧困ネットワーク」代表の宇都宮健児弁護士は「非正規雇用労働の広がりで労働分配率が減り、利益は企業の内部留保や株主への配当に移転した。ジニ係数が悪くなるのは当たり前だ。改善には高額所得者への課税を強化し再分配を進めるべきだが、現実は全くそうなっていない」と指摘しています。

ジニ係数とは

 ジニ係数は、イタリアの数理統計学者のコッラド・ジニ(Corrado Gini)が1936年に考案した統計学の概念です。

 ジニ係数は、統計データさえあれば簡単に計算できるために、所得格差などを分析するさいにはよく使われる指標です。もともと統計学の概念ですから、近代経済学か、マルクス経済学か、という問題とは直接の関係はありません。

 ジニ係数は0と1の間の数値となりますが、数値が大きければ大きいほど(1にちかいほど)格差が大きく、数値が小さいほど(0に近いほど)、格差が小さいことを表しています。たとえば、ジニ係数が0・263から0・574に上昇したら、格差が拡大したことを意味します。

 ジニ係数の便利な点は、所得の分配や格差の実態を一個の数値に凝縮して示せること、したがって、ジニ係数を比較して、格差の程度を比較することができることです。

 しかし、ジニ係数の計算は、二重、三重に量的な平均化を積み重ねて一個の数値を算出しますから、その格差がどのような質的意味をもっているのか、その格差の原因については、なにも語らないという限界をもっています。

 また、ジニ係数を算出するもとになる統計(「家計調査」など)の標本(データ)それ自体が、今日の所得格差の実態を正確に表しているかどうか、という問題もあります。


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