今の日本は財政と経常収支の「双子の赤字」に直面している

貿易赤字
世界的に市場が荒れ模様になるなか、アメリカ・ドイツ・日本の国債に投資家の資金が集まりましたが国債への志向は確かなものなのでしょうか。




10年物米国債を例にとれば、1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)が金融の量的緩和の規模縮小を続けると発表したにもかかわらず、利回りは一時2.5%台に低下(相場は上昇)しました。

グローバル市場の混乱
13年5月~ 14年1月~
引き金 バーナンキFRB議長の量的緩和縮小示唆 米景気指標の振れ、アルゼンチンの通貨不安
中国経済の減速、「影の銀行」 中国経済の減速、「影の銀行」問題
新興国 経常赤字国でトリプル安 経常赤字国の通貨安に選別色
米  国 株安、長期金利上昇 株安、資金逃避で長期金利低下
日  本 株安、長期金利上昇、円反発 株安、長期金利低下、円反発
幕引き 米の緩和時期先送り(市場配慮) 米景気の底堅さ確認(?)

新興国ばかりでなく米国株も荒れるなか、米国債が投資資金の受け皿になりました。

市場が落ち着きを取り戻せば、国債を避難所としていた資金も離れ、利回りもいくぶん上昇するでしょう。

それでも、投資家のリスク許容度が低下しましたので、安全資産である米国債を粗末にすることはないと思われます。

この点が、債券を起点として世界的に市場が荒れた昨年5~6月との違いです。

日本の場合も、10年物国債の利回りが0.6%まで低下しました。

外国人投資家が株式を売った資金で、国債を購入しました。

安全資産としての国債に、マネーが流れ込みました。

ここまでは米国と同じですが、日本経済の対外環境をみますと、改めて気がかりな事実が浮かび上がります。

経常赤字の穴埋め問題です。

日本の経常収支は昨年10月以降、赤字となっています。

貿易赤字の拡大が主な原因で、2013年の貿易赤字額は11.4兆円と前年比65%も増えました。

今年は1月上中旬の貿易赤字がすでに2兆円に乗せ、前年同期比71%増となっています。

今年1月の経常収支が赤字となり、赤字幅も昨年1月の3000億円強を上回るのは確実です。

経常収支は国内の貯蓄投資バランスに一致しますので、経常赤字になれば海外からの資本流入で埋め合わせるほかありません。

外国人投資家の対日投資

昨年は1年間で15兆円を超えた外国人投資家の日本株買い越しが、その役目を果たしました。

ところが今年に入りその流れが逆転しました。

外国勢は1月に日本株を1兆円売り越したのです。

その結果、日本株が値崩れしました。

しかし、より深刻な事態は株式投資以外の資金流入も途絶え、経常赤字の穴埋めが出来なくなることです。

今のところ、その事態は発生していません。

外国勢は日本株を売る一方で、中長期債の買い越しに転じたからです。

加えて、新興国通貨を売った資金が日本の短期債へと流れ込みました。

外国勢による短期債の買越額は、1月には4.5兆円にのぼりました。

これだけの短期資金が入ってくれば、円高になるのは避けられません。

案の定、円相場は1ドル=100円突破をうかがう勢いをみせましたが、その半面で経常赤字の資金繰りがついたのですから、文句をいえた義理ではありません。

グローバルな金融不安が一段落すれば、こうした短期資金は潮が引くように去って行きます。

すると、経常赤字という「不都合な真実」だけが残ります。

(1)貿易赤字を減らし経常収支を黒字にするよう努める
(2)外国勢の対日投資をつなぎ留めるべく政府と企業が努力を重ねる。
官民問わず直面しているのはこの課題です。

今の日本は財政と経常収支の「双子の赤字」に直面していることを忘れてはいけません。


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